2024年12月05日( 木 )

若手ビジネスパーソンに伝えたい仕事の本質~「傍を楽にすれば、仕事はうまくいく」(4)

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見えない資産が評価される時代

 インターネット時代ですから、皆さまはスマホで直接やり取りする人を100人つくりませんか。個人の電話番号とアドレスを知っている人を100人つくれば、いろいろな情報が入るし、また、その人が100人ぐらい知っている。だから、100×100で1万人ぐらいのネットワークはすぐにできます。そういうアライアンス人脈をつくっておくと、会社のためにもなりますし、個人の次の道を選ぶときにも、非常に役に立ちます。

 いろいろなノウハウが次々に変化するので、会社を退職した時、ノウハウでは間に合わないと思いました。勉強してもすぐに過去の情報になってしまう。だから、ノウハウではなくノウフー、誰を知っているかに特化しようと。これが、当社の経営資源です。

 バランスシートにいろいろな数字が載っていますが、資産勘定に載っていない資産が3つあると考えています。まずは「人材資産」。社員の資産価値が前期までは、50億円だったのが、1人定年で辞めることによって10億円ぐらい下がることがあります。人数はいっしょでも能力の資産価値が違うわけです。アメリカは人材価値を数量化しています。M&Aをする際、買収先の価値を見るときに設備をもった工場などは計算しやすいが、あの会社にはこういう人材が何人いるから価値があるという見方をして買うことがあります。M&Aをしなくても、今後は人材資産が増えたのか減ったのかを計算する時代がきます。

 それから、「客財」。お客さまの価値です。どんなお客さまと取引しているかが、評価です。たとえば、5万人のお客さまと取引があるということにも価値がありますが、大手企業や公的機関など、取引していることで自社の信用や評価が上がるお客さまもあります。このような価値の高い顧客をゼロから開拓しようと思うと大変です。これが増えているのか、減っているのかが大切なのです。最後は「ブランド資産」です。コンプライアンス違反などをすると一度に価値が落ちます。

 これら見えない3つの資産を数量化する時代が必ずやってくると思います。物的なものだけではなく、見えない物を見える化することが必要になってくるのではないかと考えています。

環境への取り組みが企業評価を左右する

 これから、どの会社にも時代のニーズとして問われるのが、環境問題への取り組みです。環境への取り組みは投資家が投資する大きな判断材料になります。単なる財務内容だけではなくて、その会社の理念に投資する時代がきています。そういう問題を無視して経営すると、企業は100年続きません。そういう時代がきています。

 先程もお話しましたが、当社の資産は人脈であり、アライアンス先です。固定費のコストダウンのお話をしましたが、提携している企業が提供する品目は700種類あります。たとえば、健康診断。一般的な健康診断は1回あたり3,000円ほどかかります。この金額もオーバーに言いますと、東京企業が100としたら、福岡の企業は150ぐらい払っています。家賃も大きなコストです。家賃をバブルのころに契約した金額をそのまま適用しているところもあり、家賃にもの凄い格差があります。これを見直して、ギャップを是正する会社があります。

 ある企業では、自社所有の土地を使っているので家賃は払っていないとおっしゃる。しかし、固定資産税は払っているわけです。これは経費です。ある会社の固定資産税を調べたら、税額が間違っていました。これをプロに依頼したところ、役所から数年分遡って返金しますという回答がありました。

 通称「経費ドック」と呼んでいます。人間ドックと同じように定期的に経費を診断します。3年に一度のスパンで診断すると、その間に必ず技術が進歩していますから、コストダウン効果が生まれます。まず、自分の会社の現状を知ることが大事です。こんなものだろうと思うのではなく、別の角度から見ると変わるということが結構あります。

 最後にぜひ、100年企業を目指していただきたいと思います。そのためには、変化にチャレンジしてください。進化しなければ続きません。すばらしい企業は、理念やコンプライアンスは変えませんが、常にやり方、手法を変えています。変えない企業はいずれ退化して衰退します。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:川邊 康晴
所在地:福岡市中央区大名2-4-19
設 立:2005年9月

<プロフィール>
川邊 康晴 (かわべ・やすはる)

 1935年、福岡市で生まれる。九州大学法学部卒業後、西日本相互銀行(現・西日本シティ銀行)に入行。92年専務、98年西日本経営情報サービス(現・NCBリサーチ&コンサルティング)社長、2001年会長。現在は、川邊事務所会長、(株)Kアライアンス・ジャパン代表取締役会長。著書に『アライアンス・パワー「三方一両得」の経営』、『傍楽』がある。

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