傾斜の事実を隠され販売されたマンション!(後)
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不動産仲介業者の不誠実な商法というBさんの事例とは関係ないが、前回報じたベルヴィ香椎の構造計算の問題について語ってくれた構造設計一級建築士の仲盛昭二氏の意見も聞いてみた。
Bさんのマンション購入に際して 仲介の不動産業者が「マンションの施工上の不具合に関する調停」の事実を隠していたことは、不動産取引の問題であり、私の専門外のことです。しかし、不動産業者の悪質さには憤りを感じます。仲介を行った不動産会社は大手の会社ということですが、大手ほど不誠実な対応となる点では、このマンションを分譲したJR九州・福岡商事・若築建設も同様ではないでしょうか?
福岡商事は福岡銀行と深い関係にあります。JR九州と福岡銀行という市民が必ず接する公共性の高い企業が マンションを販売し利益を上げていながら、いざ 不具合が判明すれば、区分所有者に対して 手のひらを返したように 厚顔無恥な態度に豹変しました。
久留米市の欠陥マンションの裁判で、私は原告である区分所有者の技術支援をしましたが、被告である鹿島建設の対応も傲慢なものでした。図面に明記された各階30カ所の重要な梁を手抜きで未施工であったにもかかわらず、鹿島建設は「図面通りに施工をしていなくても安全性に問題はない」と開き直っていました。当たり前のことが通用しないのも裁判だということが分かりました。
東京の豊洲市場の設計の偽装について仲卸業者が東京都を相手取り裁判を続けていますが、設計者である日建設計や東京都は東京地裁まで巻き込み、正当化に必死になっています。具体的にいえば、東京地裁は第1回目の審理で、原告側に主張の機会も与えないまま、たった5分で結審させてしまいました(5月判決の予定)。JR九州も福岡銀行系列の福岡商事も、鹿島建設や日建設計とやっていることは変わりません。そして、Bさんを騙してマンションを購入させた財閥系大手の不動産会社S社も「同じ穴のムジナ」です。
先日、私が語ったように、ベルヴィ香椎などの鉄筋コンクリート造のマンションやホテルなどにおいて、重要な検討の一つである柱・梁接合部の検討が省略されていたという事実があります。これは、設計者に責任があることは当然ですが、建築確認の審査を行った行政庁、そしてマンション販売業者にも責任はあります。建築業界全体として区分所有者に対して責任を取るべきだと思い、自分の身にも影響があることを自覚した上で声をあげました。建築関係者全員で考えるべき問題であると思っています。仲盛昭二氏が語るように、柱・梁接合部の問題は 建築業界全体で考えるべき問題である。そして、JR九州や福岡銀行系の福岡商事などの大手企業に私たち力をもたない庶民が対抗するためには 力を合わせる必要があるのではないだろうか?
ベルヴィ香椎六番館では、これほど致命的な問題が発生しているにもかかわらず、無関心な区分所有者も多い。住宅ローンが35年ローンとすれば、あと10年近くもローンの支払いが残っている。泣き寝入りは強者であるJR九州らの思う壺である。
NetIBNewsでは、今後も苦難に直面している区分所有者たちを支える報道を続けていきたい。(了)
【桑野 健介】
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