「コロナ恐慌革命」以降どうなるのか(3)~グロ―バリズムの幻想(後)
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前回「グローバル化の幻想を捨てよ!貴方を守ってくれるのは自国しかない」と指摘した。しかし、本気で「国が使命感をもって我々を守ってくれる」と思うと「大やけど」することになる。政府のコロナ対策は「行き当たりばったり」の繰り返しである。我々はこの現実に直面し、いらだちを感じる。コロナによって元の光景には戻れないかもしれないが、この国には、しぶとく生きながらえるという「悪しき体質」もある。それに関しては、後々このシリーズで触れることにする。
林業復権への道程、行き当たりばったりの政策
第二次世界大戦の果てに日本の国土は荒れ放題となった。国土保全の原点は山林保全である。かつては全国津々浦々の山々に営林署(現・森林管理署)の職員が派遣されていた。ところが「戦争資源」として伐採し尽くされ、「はげ山」が続出した。そのため、われわれの世代は小学校のころ、山に植林奉仕へと駆り出されていた。昭和20年代のことである(1950年ごろから本格化)。
1960年(昭和35年)ごろから日本の高度成長が始まり、経済的な余裕がでてきたため、政府は外材輸入を推奨するようになった。この外材輸入政策が日本の住宅産業拡大に貢献したのは、まぎれもない事実である。当時は「国際化を先取り先駆的な政策」(このころは、まだグローバル化という言葉は使用されていなかった)と称賛されていた。
この政策のおかげで国産材の製材所は淘汰されていった。おかげで歴史的に有名な木材産業のある地域経済の自立・循環型のシステムが崩壊した。一方、日本は世界から「エコノミックアニマル」と呼ばれ、避難の声が高まってきた。日本による強欲な世界の山林資源の買い占めにより、特にインドネシア、マレーシアの森林を「まるはげ」にしてしまった。木材資源を収奪された両国では「木材を日本に売るな!」と規制の動きが高まった。
この動きに驚いた関係省庁は国産材利用を優先する政策へとシフトしていった。運が良いことに国内では、戦後に植林した樹木が成長していた。政府は強引に補助金を導入し、国産材利用の振興策を広めた。この過去の国産材対応における政府の「旗振り策」をみても、いかに行き当たりばったりだったか分かるだろう。
グローバル化の現代においても、自国の山林資源を優先的に活用するのは当然のことである。「日本によるわが国の木材資源の略奪は許さないぞ」という批判の動きが起きても日本国内に対応できる資源があったという強運があったからこそ助かった。これがもし「日本に食料資源を輸出するな!」という動きが起こったならば、どうなるか想像していただきたい。
最大の安保は「食糧安保」、食料輸出規制の波強まる
賢明な読者の皆さんなら「国を守るのは食糧安保である」ことを承知されているはずだ。世界の食料自給率(出典:農林水産省HP)をカロリーベースでピックアップしてみると、日本は37%、アメリカ130%、フランス127%、イギリス63%、ドイツ95%である。アメリカは食糧もエネルギーも自前で調達できるから強い。あとは軍事力強化で軍事安保を鍛えるだけで済むから「楽ちん」だ。
フランスに行った方であれば「フランスは農業国家なのだ」と驚くことだろう。フランスでは、まず食料に事欠くことはない。フランスは世界有数の農産物輸出国なのである。ドイツ、イギリスなどは自給率が低減傾向にある。しかし、日本と比較すれば倍近い数値を誇っている。これらの国々は歴史的経験から周辺国家と戦争を繰り返してきたことによって、食料安保の重要性が叩き込まれてきた。日本にはそうした思考の蓄積(食料安保の重要性)が薄い。休田の放置、草原化を加速させる国がどこにあるだろうか。
「グローバル化の時代、金さえあれば食料はどこからでも調達できる」と大きな錯覚をしているのではないか!あまりにも脳天気である。国力が低下しているわが国は、いずれ輸入する資金も事欠くことになるだろう。
そして、冷厳なる事実を突きつけよう。コロナ蔓延は「これは大変だ。食料だけはしっかりと備蓄しておかないと危機に対応できない」ということを世界各国に悟らせたのである。現にベトナム、タイでは食糧輸出を禁止する法整備が進んでいる。近々、公になるだろう。食料自給率を高めるための速やかな行動が求められている。そうしないと「日本の明日」はない。
(この項、了)
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