コロナ禍が終わったあとの世界情勢はどう変わる!?(後)
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DEVNET INTERNATIONAL 世界総裁・明川文保氏
国連NGOのDEVNET INTERNATIONAL(以下、デヴネット)の世界総裁の明川文保氏は、中国やベトナム、タイなどの国家との交渉を通して、アジアの社会発展のため多くの国際協力を実現してきた。各国の社会の動きを自分の目で見つめ、数々の海外事業を手がけてきた百戦錬磨の明川氏。インタビューでは、コロナ禍が終わったあとの世界はどう変わるのか、明川氏自身の想いを聞いた。
平和と発展に向けて国際貢献する時代へ
――資本主義などの価値観も、次の時代へと変わるのでしょうか。
明川 今までは、強欲な資本主義が地球を飲み込んできました。しかし、莫大な利益を蓄えたグローバル企業は、いったい何を目指しているのでしょうか。
たとえば、月3~4万円のベトナム国民に、日本企業は数百万円の自動車を販売してきました。車を買うために国民に一生かかって返すほどの借金をさせるわけにはいかないと、ベトナム政府は国民が車を買えるように国の力を上げようとしています。ベトナムの国を豊かにするため、デヴネットでも現地の中小企業を支援してきました。東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国は、アジア通貨危機が起こったように景気が大きく揺れるリスクも高く、経済が強くありません。しかし、経験がなく巨大な存在の一声に怖気づいていた「小虎」が、経験を重ねて自分で狩りができる「中虎」に成長するように、数々の危機を乗り切ったASEAN諸国は、中国の一帯一路の力が弱くなる今後は、世界で活躍していくでしょう。そうなると元総理の福田赳夫氏のASEAN構想を実現できる時代です。東南アジアの平和と発展に向けて、日本がもてる力を使って国際貢献できる「時」が来ます。
自主、自立、共存共栄の時代
――国際政治も転換期ですね。これからの日本は、どんな行動が必要ですか。
明川 11月にある米国大統領選挙では、トランプ氏が負ける可能性が高いと考えています。好景気で高かった株価も、今では大統領就任時の水準くらいまで下がってしまい、4年間の政策の成果が消えてなくなりました。米国がコロナで失ったものは大きかったのです。今度の大統領選挙では、民主党のバイデン氏が勝つかもしれません。トランプ政権の「アメリカファースト」に比べて、バイデン氏は規制を緩め、外国に歩み寄って交渉する手を打つでしょう。
地球規模で見ると、これからは自主、自立、共存共栄の世界になります。グローバルに振れていた振り子がまた反対に揺れて、ナショナリズムに戻ります。大規模小売店舗法改正でそれまでの流通が激変したように、各国は規制緩和で国を統制していくでしょう。私は外国に行った時に、その国の土地を見つめることがよくあります。土地を見ると国の産業や文化、価値観がよく分かるからです。ミラノ国際博覧会に行く旅路では、フランスの大地を飛行機から見下ろしました。4月は一面が真っ白な雪でしたが、5月中旬は雪が半分くらい溶けて家が点在した農地が広がっていました。大陸的で人がまばらで、日本とはあまりに気候風土が違いすぎて、この国からは日本のような発想は生まれてこないだろうと感じました。また、カザフスタンやアフガニスタンの上を飛んだ時は赤い土と岩の大地が広がっていて港湾はもちろん人家もほとんどなく、豊かな産業をおこすのは厳しい場所だと感じました。
日本は、外国の二番煎じでなく、自国から生まれた価値観で世界をリードしていく時代です。自分で決断して社会を導き、責任を取るリーダーこそが、これからの世界には必要です。日本の古い体制を変え、歴史に学ぶリーダーが、次の時代をつくるからです。
世界の7大宗教は、生まれた場所は違っても、どの宗教にも「お布施」があるのは偶然ではありません。お布施は人に「与えること」ですが、与えることで、地球規模で社会が良い方向にまわります。イスラム教には富める者は貧しい者に恵む義務、貧しい者は恵んでもらう権利がありますが、これからは立場の違う者同士がお互いに歩み寄ることが必要ではないでしょうか。人々が歩み寄ることで、21世紀は違う価値観をもつ宗教が仲良くできる時代になることを期待します。
(了)
【石井 ゆかり】
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