傾斜のマンションで匿名文書が配布される!(1)
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匿名の文書が全棟に配布される
NetIBNewsでは 「東区の傾斜マンションの調査終わる」、「傾斜した東区のマンション 住人の声」を報じた。この分譲マンション・ベルヴィ香椎において、4月27日「ベルヴィ香椎 全棟 施工不良の疑い!」と題する匿名の文書が配布された。文書では、「傾斜が報じられている六番館だけでなく全ての棟に、構造上 重要な構造スリットが施工されていないなどの施工不良が明らかになった」、「全面的な情報開示を求めよう」と呼びかけている。
また、30日には「告発 修繕理事の背任行為」という文書が配布された。「施工不良をマスメディアにリークしておきながら 区分所有者には情報を開示しない修繕理事」、「全棟に構造スリットが施工されていないのに、六番館だけの問題として終わらせようとしている」、「各棟理事も総合理事も修繕理事の背任行為を知らない」、「フジテレビでの放映後 住民から『事前に知らされていない』とクレームがあったことを隠ぺいし、さらにRKBや読売新聞の取材を受け報道されたが これも住民に知らせなかった」、「若築建設は『他棟も管理組合から申し出があれば 調査・対応する』と言っているので 一人でも多くの方が若築建設の担当者に問い合わせをしてください」、「隠ぺいだらけの閉鎖的な理事会(現・修繕理事)に任せられますか?」と訴えている。
「各棟理事」「総合理事」という名称が出ているが、このマンションは下記のように複数の棟により構成され、棟ごとに管理組合が組織され、その上位に全体の管理組合がある。
ベルヴィ香椎の区分所有者の間には、テレビなどの報道について事前に知らされないという不満があった。一部の理事が六番館特別理事(修繕理事と同一人物)に「報道に関する情報開示」を求めたところ「私が報道について知らせる義務はない」と答えたという。5月2日もTNCの番組「CUBE」においてベルヴィ香椎に関する特集が放送されたが、区分所有者には事前に知らされていなかった。
また、六番館管理組合理事の任期は7月であるにもかかわらず、急きょ、5月に役員改選が行われることになった。ある区分所有者の意見では、これは特別理事に情報開示を求めた理事を外す目的で 任期前の改選(コロナウイルスの影響で大半が委任状となる見込み)役員改選を繰り上げたのではないかという意見であった。
中古での購入者に、管理組合が欠陥の隠ぺいを管理会社に指示?
NetIBNewsでは 以前 「傾斜の事実を隠され販売されたマンション」と題し、ベルヴィ香椎六番館の部屋を購入したBさん一家について報じた。
Bさん一家がマンションを購入した際、仲介不動産業者S社から マンションの問題点について、一切説明がなかったことは、売主と仲介不動産業者S社の責任であることは間違いない。しかし、管理会社に対してかん口令を敷いていた管理組合執行部にも責任があるのではないだろうか?
NetIBNewsでは以前、登場していただいた構造設計一級建築士・仲盛昭二氏に、ベルヴィ香椎の施工の不具合について、今回も意見を伺った。
構造設計一級建築士・仲盛昭二氏にインタビュー
――ベルヴィ香椎六番館の杭長調査が実施され、若築建設が謝罪の意向を示し、連休明けには販売JV3社(若築建設・JR九州・福岡商事)が管理組合を訪れることになっています。これは、販売側・施工側が不具合を全面的に認めたということでしょうか?
仲盛昭二氏(以下、仲盛) 若築建設が施工ミスを認めたことは、基本的には住民にとって良いことですが、「何に対しての謝罪なのか?」具体的には分かりません。そこを曖昧にぼかしているので、若築建設側には別の考えがあるものと推察します。
若築建設の立場で考えれば、単に「杭長が短かったこと」を認めているだけです。事実を認めることと、問題の決着とは別問題なのです。一度 事実を認めてあげれば、今後、その問題について追及されることは無いと考えているはずです。
――5月2日テレビ西日本(TNC)の番組で取り上げられていました。(今回の放送も区分所有者には知らされていなかった)
(仲盛) 2日のテレビ放送での担当ディレクターの説明では、マンション敷地の地盤に2~3mの高低差があるとは言え、「支持地盤の絶対的深さが一定」という推測仮定から出発した説明に過ぎませんでした。支持地盤の深さが一定であることを前提とし、物理的に杭が支持地盤に到達していないと結論付けていました。しかし、現実の地中の地盤は、そのような単純な状態ではありません。
現実的に 支持地盤が一定の深さ、また平行な状態で存在していることは、ほとんどありません。支持層には勾配(傾き)があるのです。支持地盤の勾配を完璧に探るためには、全ての柱の位置において ボーリング調査を行わなければなりません。この作業は至難の技であり、立証するためには大変な検証経費を投入しなければならず、現実的には立証は不可能です。
(つづく)
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