2024年12月23日( 月 )

2次電池市場の急成長と次世代電池の開発(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 パリ協定(気候変動)以降、世界各国では環境最優先の政策が推し進められることになり、自動車産業も、従来の内燃機関のエンジンから、2次電池を積んだ電気自動車へシフトしつつある。そのような流れを受けて、ヨーロッパでは、2025年に電気自動車は全自動車の25%を占めるようになり、中国でも電気自動車の比率は全自動車の20%に達することが予想されている。

 電気自動車の普及がこれから本格化することに合わせ、小型電池の需要および蓄電システム(ESS)の需要も相まって、2次電池市場は急激な成長が予想されており、半導体市場を上回る大きな市場が誕生するものと期待が集まっている。市場調査会社のSNEリサーチによると、世界リチウムイオン電池の予想需要量は3,392GWhになるという。昨年の需要量は198Gwhだったので、10年間で17倍の成長が見込まれるということだ。電気自動車用の2次電池の需要は、18年初めて100GWhの大台に乗った。ところが、30年には、何とその30倍以上の需要になるというのだ。

 昨年、中国と米国で電気自動車へのEV補助金が縮小され、一時的に電気自動車市場は伸び悩んでいたが、今年はグローバル自動車メーカーが電気自動車の新モデル導入を続々に予定しており、電気自動車時代の幕開けとなりそうだ。それゆえ、2020年は、2次電池市場をめぐって、電池メーカー同士の熾烈な競争が繰り広げられることとなるだろう。

 従来、日中韓の電池メーカーが世界出荷量の99%を占めていたが、今後、ヨーロッパのメーカーも電池市場に参入し、市場に地殻変動が起きるであろう。フォルクスワーゲンなどヨーロッパの自動車メーカーが、電池開発に乗り出したからだ。完成車メーカーが電池の開発に乗り出した理由は、電気自動車の原価の4割ほど占めるコア部品である電池を直接設計したいということと、安定供給を確保したいというのが目的のようだ。しかし、新規参入した企業が足場を固めるには、数千憶円規模の莫大な投資と、7~10年の長い年月が必要になるという。

 昨年年まで、グローバル電池市場で世界をリードしていたのは、中国のCATL(寧徳時代新能源科技)と日本のパナソニックであった。SNEリサーチによると、2019年1~9月の世界市場シェアは、CATLが26.6%で1位、パナソニックが24.6%で2位であった。世界で一番大きな市場である中国で、CATLは自国の需要のほとんどを賄っていた。日本のパナソニックは世界最大の電気自動車メーカーであるテスラに円筒形の電池を独占供給することで、世界2位の座を占めていた。中国のCATLは2017年から市場シェア1位となっていた。

 ところが、今年に入って韓国のLG化学が急激にシェアを伸ばしている。世界シェア10.7%を占めていたLG化学は、月間使用量で、世界シェアを27.1%まで伸ばし、世界1位となった。サムスンSDIは4位、SKイノベーションも7位を記録し、3社ともシェアを伸ばした。

 中国企業は政府の補助金が削減されたことで、伸び悩んでいたが、韓国企業はこの隙を狙って躍進したようだ。一方、日本のパナソニックは、テスラとの独占契約を解除し、日本のトヨタ自動車と電池製造のための、合弁会社を設立した。

(つづく)

(後)

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