2024年12月22日( 日 )

【株主総会血風録3】駅探~筆頭株主が全役員をクビ!経営陣が戦わずして白旗を掲げたワケは?(前)

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 東証マザーズ上場で、乗り換え案内のサービスを手がける(株)駅探は、筆頭株主である(株)CEホールデイングス(HD)(病院向け電子カルテ大手、東証一部上場)から全取締役を解任し、新役員を求める株主提案を突き付けられた。プロキシーファイト(委任状争奪戦)に発展かと思われたが、6月29日の定時株主総会を前に、会社側は取締役選任議案を取り下げた。会社側は白旗を掲げ、城を明け渡したのである。なぜか!?

新社長にCEHD取締役・金田氏が就任

 駅探は6月30日、関東財務局に臨時報告書を提出し、株主総会で議決権の行使結果を公表した。会社提案の第2号議案(取締役7名の件)は、直前になって取り下げられたため、議決権の集計はなかった。株主提案の第4号議案(取締役7名の件)に対する一括採決が行われ、賛成率79.61%で可決した。

 総会後の取締役会で、CEHDの金田直之取締役事業戦略室長(58)が新社長に就任。2006年10月から代表取締役社長を務めていた東芝出身の中村太郎氏(60)は退任した。

実力常務のパワハラで全取締役の解任を求める株主提案

 ことの発端は今年5月21日、CEHDが持ち分法適用会社の駅探に取締役全員の解任を求めると発表したことだ。CEHDは、提案に至った経緯を説明した。「東洋経済オンライン」(20年6月25日付)が説明内容を報じた。

 「駅探の取締役によるパワーハラスメントにより、駅探社員の大量退職やメンタル不調者が発生するといった経営上の深刻な問題が生じたからだという。CEHDによれば、駅探の3月1日時点の社員数は90人だが、2014年4月から20年3月までの6年間で79人が退職したという。また、部門長クラスのほとんどが退職しており、『事業展開の遅延と企業価値の減少を招いている』という。

 パワハラ問題の解決に向け、駅探(社長)の中村(太郎)氏とCEHD(社長)の杉本(恵昭)氏ら両者の経営陣は3月13日に話し合いの場をもった。CEHDの事実関係調査のため第三者委員会の設置やパワハラを行った取締役の職務停止などを提案したが、駅探の取締役から『たかが31%の株主が、そのようなことを要請するのはいかがなものか』と、株主を軽視する発言があったという。さらに、中村氏がその取締役をいさめることすらしなかったことも問題視する」

 CEHDは駅探の30.87%株式を保有(議決権ベース)し、持ち分法適用会社としている。職務停止を求められ頭にきたのだろうが、筆頭株主に「たかが31%の株主」の発言は暴言もいいところだ。

 CEDの要請を受けて駅探は社外取締役や弁護士で構成する外部調査委員会を設置。5月に提出された調査報告書(非公開)で調査委員会は「パワハラに該当する可能性が相当認められる」と指摘し、対象となった取締役は辞任を申し出た。

 社員にパワハラを行ったのは、大城敦之常務取締役事業管掌(52)。中村社長につぐNo2の実力者だ。パイオニアLDC出身で、本流である東芝出身者と確執があり、パワハラで東芝組を追い出したと見られている。

 駅探は「CEHDが提案する取締役候補は主力事業に関する経営経験がない」と批判。取締役7人のうち過半の4人を社外取締役とする選任案を提示して、ガバナンスの改善を訴えた。

(つづく)

【森村 和男】

(中)

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