2024年12月25日( 水 )

利権財政から権利財政への転換

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、「安倍財政最大の特徴は利権財政であり、安倍財政への対案は権利財政への転換および法人・所得増税&消費税減税である」と訴える8月10日付の記事を紹介する。


安倍内閣はコロナ感染拡大推進の方策を採用している。
東アジアではコロナ致死率が低い。
この基本条件が不変であることを前提として、感染拡大を放置、あるいは推進する方向に舵を切っている。

7月22日にはGoToトラブルキャンペーン始動を強行した。
Apple社提供の「人の移動指数」がピークを更新したのは7月22日である。
人の移動拡大が4週間後の新規感染者数拡大に連動する。
8月19日ごろには新規感染者数がピークを更新する可能性が高い。

感染拡大推進は重大なリスクを内包する。
コロナウイルス感染症で重篤化する人の比率が上昇する場合には、目も当てられぬ状況が生まれる。
安倍内閣はこのリスクをあまりにも軽視している。

台湾、中国、韓国がコロナ被害を軽微に抑制することに成功しているが、いずれも感染拡大抑止を基礎に置いた結果だ。
安倍内閣の対応は違う。
感染拡大抑止ではなく感染拡大推進に軸足を置いている。

感染を拡大させ、感染者の比率を大幅に引き上げてしまえば、いずれかの時点で感染拡大は収束する。
集団免疫を獲得できる。
安倍内閣はこの方向に舵を切っていると見られる。

しかし、感染が拡大する過程で、高齢者と基礎疾患を持つ者がコロナ感染症で重篤化する可能性が高い。
安倍内閣はこのリスクを認識したうえで感染拡大の路線を選択しているのだと思われる。

(略)

高齢者と基礎疾患を持つ者を見殺しにしない政治もある。
この考えを基礎に置くと、政策の基本は「感染拡大の抑止」になる。
経済活動の停滞を覚悟の上で、感染拡大抑止に軸足を置く。
そのうえで、人々の生活を支え、事業の継続を支える施策を別途講じる。

コロナへの対応はこの2つの類型に大別することができる。
安倍内閣は効率優先、経済活動優先で、弱い者が淘汰されることを厭わない姿勢を基本に置く。

(略)

選挙に際して争点になるのは経済政策である。
何よりも重要なのは財政政策の在り方だ。

安倍内閣は当初、「ドケチ財政」を貫いたが、方針が変化した。
突然、「バラマキ財政」に転じた。
2020年度第一次補正予算は26兆円、第二次補正予算は32兆円に膨張した。
「ドケチ」が「バラマキ」に転じた理由は何か。
ベースを早期の解散・総選挙シナリオに置き換えたことが主因だと見られる。

財政を論じるときに重要なのは「財政資金の使い方」である。
安倍財政最大の特徴は「利権財政」である。
広く一般に、公平、公正に財政資金をばらまくのではない。
特定の対象者に、選挙協力、資金協力と引き換えに財政資金をばらまく。
GoToトラブルキャンペーンがその典型だ。

(略)

安倍財政に対する対案は次のものになる。
「利権財政」から「権利財政」への転換。
「消費税増税&法人・所得減税」から「法人・所得増税&消費税減税」への転換。

財政の健全性確保については、健全財政重視と健全財政軽視の2つの考え方がある。
この点についても立場を明確にしなければならない。
安倍財政に対する対案を明示することが重要だ。

※続きは8月10日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「利権財政から権利財政への転換」で。


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