止まぬ偏見と差別。Withコロナ時代に必要なものは
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「闘う相手は人間ではなくウイルス」として、千葉県松戸市では8月4日に「新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う人権尊重緊急宣言」を発表した。宣言の背景には、全国各地で新型コロナの感染者や医療・介護関係者、またその家族に対する差別や偏見が広がっていることがある。
感染のリスクは誰にでもあるとした意識をもち、「偏見や差別的な言動に同調せず、正しい情報と知識に基づいた行動をとること」が大切だが、残念ながら現実は多くの人々が疑心暗鬼になった状態であり、差別的な行動・発言が繰り返されている。
筆者の友人は8月8日から3日間、実家の広島に里帰りした。その際、サービスエリアやスーパー、コンビニに寄ったとき、九州弁を少し話しただけで嫌な目で見られ、挙句「自粛中なのに県外から来るなんて正気とは思えない。いい迷惑だ」と聞こえるような大きな声で陰口を叩かれたという。
また、別の友人は同期間中に大分に帰省したのだが、福岡ナンバーの車というだけで「こんな時期に信じられない。コロナをまき散らす前にとっとと帰れ」と罵られ、車体近くに唾を吐きかけられたという。福岡県のある建設会社の社長は、「全国各地、どこでも感染するリスクはあります。今、感染者数が多い県がやり玉にあげられていますが、いざ自分の県で感染者が増えたときは差別するのはやめてくれというはずです。明日は我が身という気持ちで感染に向き合わないと、それこそ差別はなくなりません。今後は感染を許容していくフェーズにきていると思います」と憤る。
適切な感染防止対策をしているにもかかわらず、根拠のない偏見や差別で他県民を攻撃するのはやめよう。一方で、7月22日からスタートした政府の観光支援事業「Go To トラベル」は好調のようだ。このキャンペーンには賛否両論あるが、筆者は賛成だ(感染防止対策をとったうえでの話だが)。このお盆休み期間中は実家に帰る予定がなかったので、キャンペーンを利用して近場に旅行をしようと思い、対象の旅館をネットで検索し予約を試みた。しかし、九州圏内の旅館は13日、14日がほぼ埋まっており、15日は空いていても1室~3室程度だった。おそらく多くは、普段は行かない近場のホテルや旅館にお得に泊まってのんびりと過ごすといった目的だろう。
「感染=悪」というイメージを改め、許容し活動していくことがWithコロナ時代には必要ではないだろうか。
【藤谷 慎吾】
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