2024年12月22日( 日 )

ホールディングス制で意思決定の迅速化とガバナンス強化を図る

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FFFホールディングス(株) 代表取締役CEO 中村 克久 氏

 (株)冨治商会は4月1日、持株会社体制へ移行しFFFホールディングス(株)へ社名を変更した。同社はグループ全体の経営管理や不動産賃貸事業を行う。新型コロナウイルス感染拡大への対応で社会や企業が変化を求められる環境下において、グループ内の迅速な意思決定力と人財の力で不透明な時代を生き抜いていく。

事業収益を明確化

FFFホールディングス(株)代表取締役CEO
中村 克久 氏

 今年、創立70周年を迎えた住宅設備機器卸販売および施工を手がける(株)冨治商会は、持株会社体制に移行するため、 冨治商会を吸収分割、グループ経営管理事業と不動産賃貸事業を除く一切の事業を継承し、「FFFホールディングス(株)」(スリーエフホールディングス)へ商号を変更した。これにより、同社は、新設した(株)冨治商会とTOTO水彩プラザふじ(株)、(株)姉川商会、大牟田バルブ(株)の4社を統括する。

 今回の持株会社制は、グループ各事業会社間の意思決定の迅速化、事業シナジーの最大化、ガバナンスの強化などを目的としたものである。ホールディングス制による株価対策に魅力を感じる企業は多いが、代表の中村克久氏は「もともと、冨治商会を中核として3つの子会社をもっていたことから、全体のモチベーションを高めるという意味では、株価対策を目的とするよりも事業収益をそれぞれの事業会社で明確にすることが社員にとっても良いかたちだと考え、中核事業を子会社に切り離した」と語る。

 社名の3つのFは、冨治商会の「Fuji」と永続の「Forever」、それに家族の「Family」の3つの頭文字で、「Forever Fuji Family」、つまり、「企業の永続性追求と社内コミュニケーションの家族的な風土を大切にしつつ、人、暮らし、社会に『誠心誠意』の心をもって貢献し続ける企業グループでありたいという思いを込めた」と中村氏は語る。

営業現場のIT化で生産性を高める

 新体制下で弾みをつけたいところだが、今回の新型コロナウイルス感染問題で緊急性のともなわないリフォームなどに対する消費者の意識が低下し、船出から逆風に見舞われたかたちとなった。新たに需要を喚起するために、業界全体として大きな変革が求められている。

 中村氏は、この状況を営業方法の変革に着手するチャンスだと捉えている。これまで、なかなか進まなかった営業現場でのIT化を加速させ、そのために積極的な投資を行う考えだ。たとえば、現場や顧客の事務所など訪問先にモバイル端末を持参し、動画やVRなどを駆使してさまざまな提案を可能にする。ショールームに来ることができないお客にも、モバイル端末を使って新商品を提案するシーンをつくっていく。

 また、以前は、現場で問題などが発生すると、その都度、社員が現地に駆け付けていた。内容の把握から解決までに会社と現場を何度も往復するようなことが常態化していたが、スマホで現場の状況を動画などで送ってもらえれば、遠隔地でも問題を把握し対策を立てることができるため、1度の訪問や場合によってはオンラインでの対応で問題が解決できるようになる。かなりのロスが減り、生産性を上げることができるというわけだ。

家族的な風土が発展の推進力

 コロナによって変えるべきものもあれば、変えないものもある。「人財あってこその会社」だという考えである。社名にも反映されているが、「家族的な風土」をつくり上げてきたことが同じ目的に向かって最大の力を発揮する組織の結束力を醸成、それが同社発展を支えてきたと考える。

 中村氏は、代表に就任した17年前から、有給休暇の消化を推し進め、さらにリフレッシュ休暇制度の導入や長期休暇の取得を奨励するなど、従業員が働きやすい環境づくりに取り組んできた。「今の若い世代は収入もさることながら、自分の時間や休暇をかなり大切にするようになっている。そこに応えられる会社に良い人材が集まってくると信じ、取り組んでいる」と人材育成への思いを語る。

 昨年10月には、経営管理本部から独立するかたちで「人財戦略本部」を立ち上げた。経営管理本部はもともと、総務、庶務全般から経理まで幅広い業務をこなしていたが、今回の人財戦略本部の設置で、財務、庶務系は経営管理本部が、採用から教育全般まで人事に関わるものはすべて人財戦略本部が担う。それだけ、人に投資をする意気込みが表れている。

 コロナ問題で、企業と学生が接点をもつ合同説明会など、ほとんどのイベントが中止となった。人財戦略本部は、いち早く地場の映像制作会社に依頼してPR動画を作成し、ネット上で学生と接点をもつよう取り組んだ。その成果は早速表れた。面接まで進む予定の学生の数は、昨年よりもむしろ増えたという。

新本社ビル(完成イメージ)

 現在、福岡市中央区赤坂1丁目の旧本社ビル跡地に新本社ビルを建設している。完成は来年1月末の予定だ。建物は10階建てで、1階はテナントを入れ2階にショールームの「TOTO水彩プラザ」と同社の本部が入る。新社屋の完成は従業員のモチベーションをさらに高める効果が期待できる。グループの推進力はますます強力なものになるだろう。

【宇野 秀史】

<COMPANY INFORMATION>
所在地:福岡市中央区薬院1-13-8九電不動産ビル5F
設 立:1951年11月
資本金:9,200万円
TEL:092-712-0113
URL:https://www.fff-hd.co.jp

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