【縄文道通信第44号】縄文道は未来道―縄文文化の影響は未来永劫に続く―「和巧絶佳」 美術展 印象記(前)
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(一社)縄文道研究所
NetIB-Newsでは、(一社)縄文道研究所の「縄文道通信」を掲載していく。
今回は第44号の記事を紹介。
「和巧絶佳」美術展~縄文パワーの蘇り
パナソニック汐留美術館(東京都港区)で開催中の「和巧絶佳」展で、12人の若き芸術家の作品を鑑賞した。全員が30~40代という若き芸術家だ。
日本各地の陶磁、漆工、染織、金工、木工、ガラスなどの工芸作品が展示されているが、縄文文化との関係性から目を惹くのは陶磁・漆工・染織・木工などだ。縄文時代から営々と伝統を引き継ぎ、現代工芸としてそれぞれ個性的な作品が発表されている。
縄文文化が現代にも息づいていることは、このシリーズで何度も紹介している岡本太郎氏が1951年11月7日に上野の東京国立博物館で縄文土器と出会ったことにも象徴されている。天才的感性を持ち、「芸術は爆発」だと主張する岡本太郎氏だからこそ、縄文土器の発するエネルギーやパワーを、日本人の芸術感覚の源泉と捉えることができたのだ。
今回の「和巧絶佳」展の作家のなかで、筆者が注目した3人の若き芸術家を紹介させていただき、彼らから感じた縄文の息吹を述べる。
1人目は、若手陶芸家のホープである新里明士(NISATO AKIO)氏だ。新里氏は千葉出身の43才で、光器、光蓋器、穿器の3種の作品が展示されていた。蛍手技法(※)を用い、磁器の透光性を活かした精緻な品位をもつ作品が多い。
光器は、磁器のもつ怜悧な性質に蛍手技法を使用している。これまで縄文土器、弥生土器、土師器、陶器、磁器と歴史を重ねているが、土と水と火の結晶であることに変わりはない。
新里氏に注目している理由は、岐阜・多治見市の陶磁器意匠研究所で研鑽を積み、文化庁によるボストン派遣でアメリカの芸術環境に触れ、その後に欧州陶磁器の最高峰であるイタリアのファエンツア国際陶芸展新人賞を受賞したことで、ファエンツアを何度も訪れ、活躍の場を世界に広げていることだ。日本の陶磁器研究所からスタートした新里氏は、アメリカ、イタリアなどの世界に向けて、磁器のもつ怜悧性、透明性、純粋性を「光」と形容して発信している。
日本の磁器と縄文土器を比較したときの違いは、以下3点である。
新里氏の磁器は上記のように進化したかたちで、磁器の特性を最大に活かして「光」という、人類普遍の美の追求を独自の装飾法で世界に発信していることだ。縄文土器の息吹が活かされた作品で将来が楽しみだ。
(つづく)
※磁器の素地に透かし彫りの装飾を施し、粘性の高い半透明の釉薬をかけて焼成する。^
Copyright Jomondo Kenkyujo
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