【縄文道通信第47号】縄文人は定住型狩猟民族だった―今も息づいて未来に活かせる道(前)
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(一社)縄文道研究所
NetIB-Newsでは、(一社)縄文道研究所の「縄文道通信」を掲載していく。
今回は第47号の記事を紹介。
縄文人は定住型狩猟民族であった
縄文道通信第45号で、縄文人は「海洋民族」であったと述べた。日本が海に囲まれた海洋国家であることから、縄文人は丸木船を駆使して近海の物資輸送においても活躍していたことが、考古学的に判明している。
一方で、日本列島は国土の約7割が山岳地帯で、火山帯に位置する。南の島の一部の熱帯雨林から針葉樹林、広葉樹林まで幅広い森林をもつ国家でもある。そのため、縄文人は山林を駆け回る野生の動物を捕獲する、狩猟民族でもあった。捕獲していた動物は、哺乳類だけでも約60種類が判明している。四季に応じて獲得できる動物の種類は異なるが、主な動物は以下の通り。
イノシシ、鹿、たぬき、熊、くじら、いるか、うさぎ、むささび
獲得するための道具としては弓矢、石鏃が使われ、これらの道具が多くの遺跡から発掘されている。矢じりや石鏃には、もっとも硬質な黒曜石が使用されている。縄文道通信第45号でも触れたが、東京都の神津島や長野県の鷹山遺跡、栃木県、神奈川県からの黒曜石も使用されていた。黒曜石の一大交易圏が存在していたのだ。また、獲得した獲物を長期間、保存するために大きな土器が作成されていた。
また、狩りのために猟犬をともなっていたことも、遺跡から犬の骨が発掘されていることからわかっている。ちなみに縄文時代や弥生時代から「日本犬」「縄文犬」と呼ばれる以下の6種類の犬が今でも健在だ。
北海道犬・秋田犬・芝犬・甲斐犬・紀州犬・土佐犬
これらの通称「縄文犬」は、今では世界の犬のブリーダーの間でも高く評価されるようになっていると聞く。「縄文犬」は体が小さくてピンした尻尾をもち、キリリとしていて俊敏、忠実、賢いという評価を得ているという。
縄文人は、矢じり、石鏃の原料の黒曜石の確保、輸送手段としての丸木舟制作、矢じり、石鏃の手の込んだ制作、獲物の貯蔵や煮炊き用の縄文土器制作(火と水と土の有機的活用技術)、猟犬の飼育や訓練、漁労、多くの魚を釣る仕掛けの制作を行い、さらに採集生活者であったため、植物の生態を観察し、四季の移り変わりや植物の旬を見分けてきた。縄文人は厳しい自然と対峙しながら生き残るために、創意工夫が必要であった。
約6,500~6,000年前に発生した縄文海進(海水面の上昇)のピーク時には、海面が現在より100mくらい高かった。関東平野は栃木県藤岡近くまで海であった。この時期以降、縄文人は本格的に定住生活を開始したといわれている。竪穴式住居をつくって集落を形成し、集落の周りではクリ、トチなどの実を保存できる植物の栽培も始めた。
縄文道で指摘する日本の匠の技術の基礎は、約14,000年前の縄文時代に形成されたと考えられる。定住を開始してから、技術の進歩、発展がとくに著しい。縄文文化は、縄文海進後の今からおよそ5,500~4,000年前の縄文時代中期に全盛を迎えた、青森県の三内丸山遺跡や、新潟県長岡市の縄文火焔土器、長野県から発掘された国宝の「縄文のビーナス」の土偶などは、すべて縄文時代中期のものである。
(つづく)
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