【縄文道通信第49号】「縄文道」と「武士道」 今も息づき未来に活かせる(後)
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(一社)縄文道研究所
NetIB-Newsでは、(一社)縄文道研究所の「縄文道通信」を掲載していく。
今回は第49号の記事を紹介。
縄文道と武士道の相違点と連続性~「道」の定義(つづき)
新渡戸博士の北海道との深い縁、ベルギー・ブリュッセルでの武士道を著す動機、そして最後に人生を終えたカナダ・バンクーバーを振り返って、筆者はいずれの地とも深い縁があることから、縄文道と武士道の歴史的連続性についての考察を深めていきたいと考えている。
今までに紹介してきたように、新渡戸博士の「武士道」は紀元前660年の神武天皇以降の日本人の道徳体系を詳細に述べたのに対して、筆者が唱える縄文道は紀元前660年以前の約14,000年間の日本人の精神性に触れた。
哲学者の故・梅原猛氏が、「日本人の精神性の源流は約14,000年続いた縄文時代にある」と喝破されたことにも影響された。
縄文土器の優れた作品のエネルギーに触れることにより縄文人のバイタリティーを讃えた故岡本太郎画伯の著作との出会いは、商社勤務時代に駐在していた豪州のパースであった。それは、岡本氏の『四次元との対話 縄文土器論』という名著であった。このことは先祖の瀬戸の陶祖・加藤景正(藤四郎)の末裔として、岡本氏が土器、陶磁器の歴史に多大な関心をもっていたことも影響していたであろう。
以上のように、さまざまな出会いと経験から導き出された帰結が「縄文道」である。長く続いた縄文時代の精神性が、武士道に受け継がれたことはたしかであるが、特筆すべき普遍的価値は、今まで何度も述べてきたように以下4点に集約される。
(1)自然との共生
(2)平和思想
(3)母性尊重
(4)富の平等性これらの価値は、2015年に国際連合で提唱されたSDGs(持続可能な開発目標)の17条と一致する。突き詰めてみれば、これらの価値観は「自然と人間との関係性の体系化」でもある。従って、筆者は、「縄文道」と「武士道」を日本人アイデンティティとして一緒に伝えれば、世界に発信できる価値観だと考える。言わば、相互補完関係、切っても切れない関係にあると感じる。
上記をまとめると、以下の通りである。
歴史的起点
<神武天皇即位(紀元前660年)>
縄文道:
神武天皇即位以前武士道:
神武天皇即位以降<期間>
縄文道:
約14,000年の道武士道:
約2,600年の道・戦前は万世一系の天皇制教育の基、神武天皇以前の歴史は軽視されていた。
・戦後はGHQの教育改革で、戦前の歴史否定から縄文時代は無視された。現在では、考古学の発達、歴史観の修正、世界史との相対比較が行われ、考古学者、民俗学者、歴史学者、遺伝学者などの研究が進んだため、古代史の全貌が明らかになってきた。世界がグローバル化するなかで、人類史と遺伝学的(DNAの解明)観点からも日本史の見直しが進み、縄文道と武士道を連続的にとらえる歴史的必然性に直面している。
価値観の中味
<普遍的道>
縄文道:
自然との共生の道、平和の道
母性の道、富の公平性武士道:
日本人の道徳体系
和と共生の思想を受継ぐ
武家の女性の身分と地位
<大和の道>
縄文道:
匠の道、固有美意識
武士道形成前の美学形成武士道:
武道(柔道、剣道、空手道、合気道、弓道)―惻隠の情
芸道(茶道、華道、香道)―礼儀作法、品位、精神性
<現代への影響>
縄文道:
源流、基層武士道:
精神性、武道、芸道などの形に大きな影響<今後の展望>
縄文道:
自然と人間の体系、日本人源流論武士道:
道徳体系と武術、芸事。座禅道は啓育で生かすAI、ロボット、5Gのデジタル社会の本格的到来を迎えて、縄文時代から長期にわたり形成されてきた日本人の2つの精神性―縄文道と武士道の2つの道のアイデンティティを連続的に捉え、内外に積極的に伝える必要性がますます高まっている。
とくに現代に生きる我々は、縄文道と武士道の精神を受け継ぐ「新縄文人(20年1月12日商標登録)」の8つのCと、「縄文道経営(現在商標申請中)」8つのカギを活かしてゆく時代が到来する。日本再生のための本格的な「人づくり」において、縄文道、新縄文人、縄文道経営のはたす役割は大きいと考える。
(了)
Copyright by Jomondo Kenkyuujo
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