2024年12月25日( 水 )

元総合商社駐在員・中川十郎氏の履歴書(24)ブラジルでの年末・年始

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日本ビジネスインテリジェンス協会会長・中川十郎氏

リオデジャネイロ湾のクルージングで正月を祝う

 ブラジルのリオデジャネイロ駐在中、日本人駐在員や現地日系人と家族連れでリオデジャネイロ湾のクルージングに参加し、正月を祝った。企画者はフジテレビの有名番組『夢で逢いましょう』の元ディレクターとして活躍されたという大地氏だった。

 ブラジルは南半球のため、正月は日本の夏のように暑いが、クルージングではリオデジャネイロ湾郊外の港に船を停泊させて家族で泳ぎ、夜は湾岸のヒュッテに宿泊。南半球ブラジルの新年を楽しんだ。

 大地氏は夫人のご両親がブラジルに移民されているため、フジテレビを退社してブラジルに移住された。リオデジャネイロで夫人と日本料理店を経営し、筆者が主宰する「ブラジル経済研究会」もこの日本料理店で開催させていただいた。大地氏自身も、同研究会の一員として熱心に参加してくだった。

南米では飛行機のオーバーブッキングは日常茶飯事

 ある年の年末年始の休暇に、家族で世界的に有名なブラジルのイグアスの滝を訪問した。滝の近くのヒュッテに宿泊し、庭のプールでひと泳ぎした後、滝を見学。北米のナイアガラの滝にも匹敵する豪壮さをもつイグアスの滝を上流から見学し、すさまじい水量に驚いた。その後、大きなスケールで激しい勢いで落下する滝を水面近くから眺めて、肝を潰した。この旅では、アルゼンチンのブエノスアイレス、チリのサンティアゴも訪問した。

 ブエノスアイレスからリオデジャネイロへの帰路につこうとすると、飛行便がオーバーブッキングのため、空港は乗客であふれていた。最終便に搭乗するためには10時間近く待つ必要があるという。

 ウルグアイのモンテビデオまで、空路なら30分で訪問できる。ウルグアイは世界でも福祉国家としても有名であり、モンテビデオは骨董品の名所であると、かねて聞いていた。そこで「満員の空港で10時間近くも待つよりも、この機会にモンテビデオを訪問しよう」と思い立ち、家族でモンテビデオに飛行機で向かった。モンテビデオでウルグアイの小物の骨董品も手に入れてブエノスアイレスに帰り、しばらく空港で飛行機を待って、無事にリオデジャネイロに帰着した。

 南米では、オーバーブッキングは日常茶飯事のようだ。「郷に入っては郷に従え」の精神で、感情的にならずに忍耐力をもつことが大切であると痛感した。

米国CIAの南米の政治介入への強い疑問

 サンティアゴでは日本車の大量輸出に協力してくれた代理店の関係者と面談し、食事をともにした。かつて売り込んだ日本車が街を走っている様を目撃し、感無量であった。

 サンティアゴの食堂に飾られていた、原住民のインディオがつくった藁の鳥がかわいらしく、娘が欲しがったのでホテルの売店で購入した。この藁の鳥は、チリ訪問の思い出として今でも我が家の食卓に飾っている。

 当時のチリでは、社会主義政権を米国のCIAとともに打倒したピノチェト政権が軍事独裁を敷いていた。後年にはパナマでもCIAが軍事政権を倒すなどの出来事があった。筆者は米国諜報機関の南米の政治に対する介入は問題ではないかと強い疑問を抱いた。

(つづく)


<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)

 鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)

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