【縄文道通信第52号】縄文ビーナス土偶と母性社会パンデミックと縄文文化
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(一社)縄文道研究所
NetIB-Newsでは、(一社)縄文道研究所の「縄文道通信」を掲載していく。
今回は第52号の記事を紹介。縄文ビーナス土偶がナンバーワンに選ばれる
縄文時代の遺物は、日本全国で膨大な数の遺跡が発掘されていることでも、良く知られており、毎年約7,000件近くが発掘されている。これらの歴史的に貴重な遺物に対してウェブ上で人気投票が行われ、「縄文ドキドキ総選挙2020年」 の結果が発表された。結果は長野県茅野市の「縄文のビーナス」が2,191票を獲得して全国1位に選ばれた。
「縄文のビーナス」は16年の「JOMON美土偶グランプリ」に輝いており、今回で2冠を達成した。筆者はこの縄文ビーナスの現物に対面したことがあるが、毎回「素朴なる母性と力強いエネルギー、そして縄文時代の女性の発する生命力と安定した平安」を感じる。これまでにパステルのデッサンを十数枚描いてきたが、毎回エネルギ~と独特な生命力に圧倒され、満足できる作品を仕上げるのは至難と感じている。
「縄文道」の普遍的な価値に関して、縄文時代は母性社会であったと論じてきたが、母性社会は、人類学的に見て非常に平和で安定した社会が形成される特徴がある。縄文時代は人類史でも稀に見る約14,000年という長期的な平和が維持された社会であった。発掘された人骨の遺跡からも、縄文時代の殺傷率は、約1.8%と、大陸の主要文明の殺傷率12~13%と比較して極めて低かった。また、人を殺傷する目的の武器が発掘されていないことから、理想的な平和社会が形成されていたことがうかがえる。
今回の縄文ビーナスの1位選出は、日本の縄文文化の愛好者の平和への願望の表れでもあろう。
平和論や文化論をめぐって意見交換、対談を行ったことのある元スイス大使の村田光平氏は、父性文化と母性文化を以下のように比較して、21世紀は母性社会を実現すべきだと主張している。
以上、主要な対比だが、読者も納得できるのではないか。
15年に国連で発表されたSDGs7条は「自然との共生、平和社会実現、貧困を撲滅し平等な社会を形成する、多様性を重んじるー女性活用」と謳っているが、母性社会を重んじることが、SDG’sの理念を実現―できると早道と思う。昨年末、フィンランドで世界最年少の女性首相サンナ・マリン首相が誕生した。この若き女性首相誕生は、世界でも歓迎されているようだが、縄文道の立場からも喝采をおくりたい。日本でも女性の多くの分野での活躍を期待したい。
世界は新型コロナ蔓延により、パラダイムが大きく転換する時代に直面している。とくに環境問題、経済格差、民族的対立、米中対立など、多くの不安材料のなかで、縄文時代のもっとも繁栄した縄文中期(紀元前5,000~3,500年)に長野県で栄えた縄文遺跡から縄文ビーナスが1位に選ばれたことは実に喜ばしい。
「縄文道」の平和希求の立場から縄文ビーナスに象徴される平和な母性像が平和社会 実現への一歩になればと期待したい。
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