【縄文道通信第53号】縄文文化と世界四大文明―SDGsと縄文道―
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(一社)縄文道研究所
NetIBNewsでは、(一社)縄文道研究所の「縄文道通信」を掲載していく。
今回は第53号の記事を紹介。縄文文化と世界四大文明~縄文道とSDGs
20世紀のもっとも偉大な文化人類学者であり、構造主義の哲学者の故レビー・ストラウス博士は「日本に3度来日し、縄文土器に最初に出会ったとき、直ちに縄文人の優れた造形感覚と、土器の制作に隠された人類史上の稀にみる知恵を見抜き、縄文文化を人類史において高く位置づけ、縄文文化を源流とする日本文化を高く評価した」という。縄文文化を世界四大文明と比較することで、その位置づけや特徴を考えてみたい。
東京国立博物館で2018年7月から開催された「縄文―1万年の美の鼓動」の展覧会には約30万人が訪れ、秋にはパリでも開催された。筆者も3度足を運び、縄文土器、土偶の発する迫力とエネルギーに圧倒され、同時にレビー・ストラウス博士の本質を見抜く慧眼に改めて偉大さを感じた。
最後のコーナーには、世界四代文明の石器、土器も展覧されており、縄文文化がこれら四大文明よりはるかに古く、長期に文化を継続してきたことが一目瞭然に理解できる展覧会であった。以下はその概略である。
【縄文文化】
<始原>
紀元前1万4,500年前
<崩壊>
紀元前660年、神武天皇即位まで
<期間>
約1万4,000年【メソポタミア文明】
<始原>
紀元前5,000年に萌芽
<統一>
紀元前3,500年
<崩壊>
紀元前330年、アレキサンダー大王征服
<期間>
約4,700年【エジプト文明】
<始原>
紀元前5,000年前に萌芽
<統一>
紀元前3,150年
<崩壊>
紀元前332年
<期間>
約3,000年【インダス文明】
<始原>
紀元前3,000年前に萌芽
<統一>
紀元前2,600年
<崩壊>
紀元前1,800年
<期間>
約800年【黄河文明】
<始原>
紀元前5,000年前に萌芽
紀元前4,000年 彩陶文化
紀元前2,500年 黒陶文化
<崩壊>
紀元前1,600年
<期間>
約3,400年世界四代文明は下記の特徴を有している。
- 大きな河川の流域に発達:チグリス・ユーフラテス川、ナイル川、インダス川、黄河。
- 農耕灌漑から都市文明を形成。
- 固有の文字を形成:楔形文字、象形文字、漢字。
- 森林を伐採、砂漠化させた。
- 他民族、部族紛争、戦争に明け暮れ、征服されて崩壊した。
一方、日本の縄文文化は下記の特徴を有している。
- 縄文遺跡は河川に3万5,000以上、湖に1万2,000以上あり、周辺を海に囲まれ水の豊富な自然環境。縄文遺跡は水辺に点在した。
- 針葉樹林、広葉樹林、常緑樹林と国土の約70%が森林に恵まれ、森林文化を維持してきた。
- 狩猟、漁労、採集を主とする部落社会であった。
- 食料に恵まれ、循環型の母性尊重社会を形成
- 縄文語は、オノマトペを中心に意思疎通ができた。「ヒエログリフ」も発見され、解明が進んでいる。
- 部族間の対立も少なく、人を殺傷する武器もなく、殺傷率は約1.8%と低い平和社会を形成してきた。
以上のように、世界四代文明と縄文文化には自然環境、社会環境、文化環境に大きな違いがあり、縄文文化は、歴史学者のアーノルド・トインビー博士が示した独特な日本文明を形成できた。
日本の文明の源流は、縄文文化にあったといえる。縄文道は、持続可能な社会を長期に形成してきた日本人の精神性を以下の4つの普遍的な道として設定し、定義づけた。
<4つの普遍的な道>
・自然との共存、共生の道
・平和の道
・母性文化の道
・経済的平等性の道―公平な分配縄文道は、15年9月に国連の193カ国で採択されたSDGs(持続成長可能な社会の17か条の目標)をすでに、歴史的に実現していたといえる。縄文道はSDGsの目標を日本で実現してきた歴史的な実績があるため、日本は世界に向けて積極的に模範を示しうる位置にあると認識する。
約1万4,000年続いた縄文道の精神性は、紀元前660年の神武天皇の即位に引き継がれている神道の精神に具現化されている。縄文道は古事記、日本書紀にうたわれる天皇制の基盤となり、神道は長期に継続した縄文中期にその萌芽があるといわれる。
縄文中期は、紀元前約3,500~2,000年の約1,000年の間にもっとも栄え、縄文文化全盛の時代といわれる。青森県の三内丸山遺跡、新潟県・長岡の火焔型縄文土器、長野県の八ヶ岳山麓に栄えた遺跡で発掘された縄文ビーナスなどは、すべて縄文中期の遺跡で発掘されたものだ。
新渡戸稲造博士の武士道の道徳体系は神道、仏教、儒教、道教の影響をうけた倫理道徳を基礎としており、その基礎は神道に引き継がれている。縄文道と武士道を合わせた「未来道」をもつ日本の主導で世界のSDGsを実現できる環境にあると感じ、日本はその役割に相応しい国柄であると確信する。
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