2024年11月23日( 土 )

【縄文道通信第59号】縄文道は身体知~縄文道―武士道―未来道(後)

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(一社)縄文道研究所

 Net-IB Newsでは、(一社)縄文道研究所の「縄文道通信」を掲載していく。
 今回は第59号の記事を紹介。

「縄文道」から「武士道」、そして「未来道」へ 

 古武術、古武道のなかには、本連載(前)の冒頭で触れた狩猟、漁労民族として縄文時代から長期に形成された「五感を鍛えた柔らかい身のこなし」が底流にある。特に縄文時代は人を殺戮するための武器は発掘されておらず、極めて平和な時代であった。弥生時代、古墳時代に大陸、半島から多くの渡来人が日本列島に青銅器、鉄器文化を伝え刀剣をはじめ武具を持ち込んだ。これら渡来人は、約1,000年以上日本列島で縄文人と混血し融合して倭人として、現代の日本人の原型を形成したと言われる。 

 この長期の融合、融和の歴史のなかで「五感を駆使しての柔らかい身体の動き」は刀剣や武具と合わせて、「柔軟で、しなやかな身のこなし」を尊ぶ古武術の形成につながったとの仮説を立てることができる。 

 従って、その後に発展する柔道・剣道・弓道・空手道は、神道から継承された相撲道と同様、以下の特徴があるのではないだろうか。 

・形を重んじる 
・礼儀をわきまえる 
・真剣勝負と喧嘩両成敗 
・修行の重要性 
・道を究める 

 武道を通じての肉体と精神を鍛える歴史的伝統は、日本の文化のなかに現代も脈々と息づいている。 

 縄文道の立場からこの日本人に脈々と流れる肉体と精神の融和は、「身体知」といえる。「身体知」は、縄文時代に鍛えられた五感、六感、直観といった、人間の危機察知能力の基本になっている。 

 現在の日本はコロナ危機のなかで、どのように生き抜いていくか、不安と恐怖、不信のなかで苦しんでいるように見える。この艱難辛苦を乗り越えるためには、「身体知」の復活が不可欠であろう。世界は急速なデジタル化とAI、ロボット化が進みつつあり、ますます人間は本来持っている「身体知」が失われつつある。 

 たまたま、以前空手を少し習ったことから、毎日型の練習をしていたが、新たに国際武術研修センターで、和道流空手、真中流合気道護身術の練習を開始した。76歳の手習いだが、師範の中村義一先生はアメリカ、カナダで20年以上空手と合気道を教えてきた国際武術家である。 

 また道場を主宰する近石幸博氏はIT業界を退任し、この道場を主宰している。合気道は、現在世界で約140万人近くが稽古しているが、とくに世界的に護身術として人気があると理解している。 

 これは縄文道の「身体知」の伝統から生まれたと思う。「小が大を制す」「柔が剛を制す」「いなす」「かわす」といった相手の力を利用して、無理なく相手を制する。これこそ縄文道が「身体知」と提唱する日本人の精神で、「縄文道」から「武士道」につながり「未来道」を形成する日本人の知恵と思う。 

 国際武術センターに関心のある方は以下にアクセスしていただきたい。 

URL:https://www.yugyoan.jp/ 
住 所:東京都世田谷区松原5‐54‐5 

(了) 


Copyright by Jomondo Kenkyujo

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