『脊振の自然に魅せられて』素晴らしき脊振の霧氷(後)
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まっすぐ続く純白の雪道
気象台レーダー作業道に足を入れると、純白の雪道が西へまっすぐ続いていた。1月にスキーを試み、深い雪に難儀した場所である。2人で新雪の道に足跡を付けて歩いた。新雪を歩くのは心地よく贅沢なことだ。取り止めのない話をしながら足を進める。後ろを振り向くと2人の歩いた足跡が長く残っていた。
新しく生まれ変わった気象台の白いレーダードームが青空のなかの雪景色に浮かぶようにみえてきた。曲がりくねった道路を下ると矢筈峠の道標が現れた。昨年取り付けたばかりのレスキューの表示板が輝いていた。強風を受けたのか、道標の周りに雪の風紋があった。
やがて気象レーダーが筆者の視界いっぱいに見えてくる。白い建物の屋上に設置されたレーダーの重量感が伝わる。純白の雪景色のなか、白い建物が雲1つない青空に中に輝いていた。
昨年から行われていた新しいレーダーの設置工事も終わり、今は作業道路の法面強化工事がなされている。今年、3月末には完成予定だ。新しいレーダーはひと回り小さいドームに生まれ変わっていた。
積雪の縦走路へ
ここから山道となる縦走路へ入る。雪の重みで樹木の枝が垂れ下がり、所々道を塞いでいる。頭や腰を曲げながら樹木に触れないよう迂回する。樹木に触れると頭から首まで雪のシャワーを浴びることになる。
筆者が日本庭園と名付けた広い砂地の休憩ポイントまで足を伸ばした。生い茂った樹木のトンネルから雪景色の日本庭園が見えてきた。この一帯は、春はミツバツツジ、初夏はリョウブ、ネジキ、タンナサワフタギなど樹木の花が咲く場所でもある。
トンネルを過ぎるとすばらしい雪景色の日本庭園が広がった。まるで絵葉書で見る金沢の兼六園の雪景色を小さくしたようである。新雪の雪を踏みしめ、いつも休憩する岩にザックを下ろした。岩も20㎝ほどの雪に覆われていた。保冷用の銀色のシートを出して雪の上に腰をおろす。
後輩 Oは手袋をした手で雪を払っていた。保温ポットから雪のなかに立てたコップに即席ぜんざいを入れて湯を注ぎ、スプーンでかき混ぜてぜんざいを味わう。そしてメープルシロップのパンを頬張る。後輩はコーヒーをコップに注いでいた。
純白の積雪の日本庭園で過ごす時間のなんと贅沢なことだろう。盆栽を思わせるたくさんの岩松も雪を被っていた。
後輩Oは2年前に胃を全摘し、昨年末に腎臓1ケ所を摘出している。それでも山に来る気力と生命力には驚くばかりだ。ワンゲルの先輩や後輩らは1人、また1人とあの世へ旅立ち始めている。2人とも健康で山に来られることに感謝する。
遠くに脊振山頂にある自衛隊の2つの気象レーダードームが見えていた。片方のドームは時おり流れる雲に覆われていた。
一息ついて、車を止めた駐車場へ戻った。雪景色を十分に堪能したのと、積雪の登山道を歩くのは疲れるからだ。30分歩いて、駐車場に着いた。
下りの自衛隊道路を慎重に運転する。解け始めた雪にタイヤが時々滑るのを感じる。車の ABS(オートブレーキシステム)が働き、ググーとブレーキがかかる。助手席の後輩Oは疲れから居眠りをしていた。この日は、早い帰宅となり午後2時には自宅に着いた。
<追伸>
RKB毎日放送の気象予報キャスターTにこの日の写真をメールで届けると、2月22日(月)の夕方の気象番組で脊振山の雪景色として紹介された。きれいな雪景色3枚をテレビで見ることができて、ワンゲルの同期からもテレビを見たよと連絡があった。(了)
2021年2月25日
脊振の自然を愛する会
代表 池田友行関連キーワード
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