2024年12月04日( 水 )

消費者庁・田中室長、「コロナに効くと言った時点で客観性・合理性を欠く」~JAROセミナー

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

 18日に開催された(公社)日本広告審査機構(JARO)主催の広告研究セミナー(オンライン)で、ゲストスピーカーの消費者庁表示対策課ヘルスケア表示指導室の田中誠室長は、「免疫機能」を標ぼうした健康食品の広告の問題点について解説した。

 新型コロナウイルス感染拡大を背景に、「免疫機能」をうたう広告が増加。逮捕者が出るなど深刻な状況となっていることから、業界関係者に向けて警鐘を鳴らした。

 コロナ禍に便乗した健康食品などの広告の増加を受けて、消費者庁は昨年3月から4度にわたり緊急監視を実施。合計144事業者(167商品)に対し、表示の改善を指導した。田中室長は「新型コロナウイルスは限られた研究機関でしか扱うことができない。健康食品ではヒト試験ができないため、コロナに効くと言った時点で客観性・合理性を欠く」と述べ、新型コロナへの効果をうたう広告を優先的に取り締まる考えを示した。

 田中室長は、「免疫力の向上」をうたう健康食品の広告にも言及。「『免疫力が高まる』という表示があるが、専門家によると、『免疫力』は『女子力』と同じようにそれを示す指標がなく、非科学用語として整理されている」と説明。「免疫機能は平常な状態に維持されることが重要で、高まればアレルギー症状が出るなど、一概に高まればよいというわけでもない」と話した。

 また、がん専門医が登場する広告の考え方を解説した。「がん」の文字が入った医師の肩書を表示するケースでは、「(医師が)何を紹介し、何を語り、どの商品に対してどう配置されているのかが問題となる」と指摘。「免疫系(商品)で登場した場合は、そういったこと(免疫力向上によるがんへの効果)を消費者は期待してしまうので、個別に判断することになる」と注意を促した。

【木村 祐作】

法人名

関連キーワード

関連記事