井筒屋、資本金を1億円に減資 累損を一掃
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井筒屋は20日、資本金を大幅に減らして1億円にし、資本剰余金も109億8,000万円減らして9億2,400万円にすると発表した。
減額分は利益剰余金に組み替える。この結果、2021年2月末時点で200億円を超す累積損失を【表1】のとおり、単純に差し引きすると一掃できる。
減資に至った経緯
同社は不採算店舗の閉鎖など構造改革を進めており、18年12月末に井筒屋宇部店、19年2月末に北九州市の商業施設「コレット」、20年8月に井筒屋黒崎店の営業を終了した。
同社は19年5月27日、宇部店の店舗と駐車場を宇部市に1億3,200万円で譲渡。また、現在の営業店舗は「小倉店」と山口市の商業施設内にある「山口店」の2店となっている。
次に、【表2】を見ていただきたい。井筒屋の経営成績推移表である。
13年2月期の売上高は前期比▲9億3,000万円の872億8,500万円で、それ以降、期を追うごとに減少傾向に転じていることがわかる。
21年2月期の売上高は8年前の13年2月期比▲367億5,100円の505億3,400万円(-42.1%)と大幅に減少している。
当期純利益についても12年2月期比▲20億6,800万円の1億1,100万円(-94.9%)と、新型コロナ禍の影響を受けて厳しい状況となっている。
22年2月期の売上高予想は前期比+14億6,600万円の520億円(+2.9%)。また親会社に帰属する当期純利益は前期比+8,900万円の2億円(+79.5%)を予想しているが、新型コロナ禍の影響次第で変動する可能性がある。
【表3】を見ていただきたい。井筒屋の貸借対照表である。
総資産残高は13年2月期比▲194億2,000万円の479億8,700万円(-28.8%)と大幅に縮小している。
長期・短期を合わせた借入金も13年2月期比▲113億3,900万円の196億7,600万円(-36.6%)と大幅に減少しており、財務体質の改善が進んでいることがわかる。
7月1日に実施する予定
今回の計画については7月1日に実施される見通し。鶴屋百貨店(熊本市)や天満屋(岡山市)なども資本金1億円の百貨店であり、減資による影響は出ていないとみられる。
減資により税制上、中小企業とみなされ、税負担の軽減につながるが、取り崩した資本金を赤字解消に充てることで、財務基盤の健全化を図ることが目的とみられる。
取材に対し、No.2の兼石一郎取締役(常務執行役員管理副本部長兼内部統制室長)は本日、筆者からの電話に対して「今回の減資によって企業体質の健全化が図れることになります。売上についても新型コロナウイルスの影響で高級品が売れています。これから『ゼロスタートし健全経営』しますので、先輩(山口銀行出身)、支援のほどよろしくお願いします」と明るく語った。
【(株)データ・マックス 顧問 浜崎 裕治】
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