【久留米】AMED 医療ベンチャー「ボナック」のコロナ治療薬開発を支援
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バイオ医薬ベンチャー「ボナック」(福岡県久留米市)と福岡県が進めている次世代医薬「核酸医薬」による新型コロナ感染症治療薬の開発を、国立研究開発法人「日本医療研究開発機構(AMED)」が支援事業に採択、5月から3年半の間に総額50億円を助成する。今後、狙った臓器に核酸医薬品を届けるデリバリーシステム開発を手がける東京医科大学(東京都新宿区)の黒田雅彦主任教授(分子病理学)や新興感染症の研究拠点、長崎大学熱帯医学研究所も参加して治療薬開発が加速するとみられる。
核酸医薬は、遺伝情報を担う物質「核酸」を基本にする薬物。在来のウイルス感染症治療薬は、タンパク質などの働きを妨げてウイルスの増殖を抑えるが、核酸医薬は「核酸」そのものがウイルスの遺伝子に直接作用して分解、治療する仕組み。変異したコロナウイルスにも、既存治療薬の核酸配列を変えると容易に対応可能とされる。
計画では、剤型は口から吸い込む吸入薬。肺に直接届くため、薬の成分が血液を介して全身に回らず、副作用の可能性が低くなる。
ボナックと福岡県は昨年5月に共同開発の覚書を締結。バイオ・セーフティ・レベル3(BSL3)施設の福岡県環境科学研究所で6月から、新型コロナウイルス株を用いた細胞実験で抗ウイルス効果を評価した。その結果、ボナックが設計、人工合成した核酸医薬候補72種類中10種類でウイルス増殖に対する明らかな抑制効果を確認。さらに試験管内試験で10種類のなかから体内での安定性が高く、少量で効果が望める3種類を突き止めた。
これらを今年1月、フランスに搬送。動物を用いた有効性確認試験で創薬標的(リード化合物)を1種類に絞り込んだ。今後3年半の間に動物を用いる非臨床試験(薬効評価試験、GLP毒性試験、薬物動態試験)を実施して、安全性と有効性を評価する。
その後、少人数を対象にした探索的臨床試験(第I・第II相臨床試験)に移行し、薬候補の安全性や有効性、用法、用量を調べる。厚労省への承認申請は25年度中が目標という。ボナックは、AMEDの「医療研究開発革新基盤創生事業」の第5回公募に応じ採択された。
【南里 秀之】
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