レジデンスホテル運営のSHIに変調、ホテル運営から撤退か
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規制緩和やインバウンドバブルにのって、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長してきたホテル運営・(株)SHI(福岡市博多区、齋藤仁社長)の周辺が慌ただしい。
SHIが運営する「Residence Hotel / Smart Hotel(以下、Residence Hotel)」は物件を借上げ、宿泊施設として運営することで、宿泊売上と賃料の差額で儲けるビジネスモデルだった。このモデルは宿泊需要が高いときには収益の最大化を図ることができ、かつ物件を所有するよりも拡大スピードを上げながら撤退コストを小さくすることができるというメリットがある。SHIによる運営の特徴は、ホスピタリティよりも徹底的な合理化による稼働率向上・収益力の最大化に重きを置いたものだった。土地建物オーナーからは、賃貸マンションよりも高い利回りが確保できるとして、期待されていた。
しかし、コロナ禍で宿泊需要は激減。SHIが運営するホテルに限らず、2020年の収益は19年比で9割減といったホテルも珍しくなく、多くのホテルが経営難に陥っていた。そういったなかでももちこたえてきたSHIだったが、ここへきて変調をきたしている。
SHIは福岡市と札幌市でホテル運営を手がけていたが、5月下旬以降、ほとんどのホテルで運営会社の変更が行われているのだ。新たにResidence Hotelの運営を手がけているのは、(株)Leading Property Management(以下、LPM)という今年3月に設立された法人。4月時点でSHIが運営していた福岡市内のResidence Hotelは多くがLPMに変更されており(変更申請中を含む)、事実上、SHIはホテル運営から撤退。昨年末までに、齋藤仁社長を除く役員全員が退任していた。
そこで注目されるのが新たにResidence Hotelの運営を行うLPMだろう。同社の代表者にはSHIの元従業員・三好崇弘氏が就いており、本店所在地もSHIと同所に登記されている。SHIからLPMへのホテル営業権の移動は、権利義務が移行する事業譲渡や組織再編の手続きを経たものではなく、単なる「変更」と見られる。一部の借上げ賃料や諸経費は未払いとなっているが、新会社LPMには負債は移行しないということだ。負債には借入金のほか、すでに述べた一部の家賃や諸経費、さらに負債として顕在化していないが訴訟となっているものもある。一部債権者にはSHIから説明もあったようだが、「何も聞いていない」という声もある。
昨年末までにSHIでは齋藤仁社長を除く役員が全員退任、3月にSHIの元従業員を代表とするLPMが設立され、LPMは5月中旬からResidence Hotelの運営を順次引き受け、5月下旬にはSHIの成長を支えた出資者が代表者だった法人所有の宿泊施設(福岡市博多区)も売却、これらの動きは偶然なのか――今後の動向に注目したい。
【永上 隼人】
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