千鳥饅頭総本舗、「菓子業界全体で福岡の街を盛り上げていきたい」
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「千鳥饅頭」「チロリアン」などの商品で知られる(株)千鳥饅頭総本舗は1630年に佐賀県久保田町で創業。現在、福岡県で36店舗(福岡市内19店舗、市外17店舗)、佐賀県1店舗、沖縄県1店舗の計38店舗を展開。2020年4月には福岡市博多区の川端通商店街内に本店をオープンさせた。
コロナの影響
新型コロナウイルス感染拡大は菓子業界にも大きな影響をおよぼしている。巣ごもり需要増加の影響で売上が伸びた商品がある半面、土産物、進物用、オフィス需要が減少。このためスーパーマーケットやドラッグストアなどの量販店と路面店の販売が好調だったが、駅、空港、観光地、百貨店、都心部のコンビニエンスストアでの販売は低調だった。
同社の原田広太郎専務によると、店舗の売上もコロナの影響で若干減少しているという。落ち込みが大きいのはデパート内の店舗や都心部の店舗で、外出自粛などの影響をもろに受けた格好だ。逆に、郊外ではコロナ前よりも売上が伸びた店舗が多かったそうだ。
同社は今年2月から出前館によるフードデリバリーをスタートさせた。「スタートしたばかりで、まだ十分に認知されているとはいえませんが、リピーターも徐々に増えてきており、今後に期待しています」(原田氏)。
川端通商店街に本店を移転
昨年4月、同社は本店を博多区呉服町から同じく博多区の川端通商店街内へ移転させた。しかし、開店したのが緊急事態宣言の発出から3日後だったこともあり、「盛大にオープン」というわけにはいかなかったという。
原田氏は「新型コロナ感染拡大により、川端通商店街を通る国内外の観光客は、ほぼゼロの状況。現在は近隣住民と近くに会社がある人が通勤で往来しているくらいで、とても人が少ないのが現状です。川端通商店街は空港や駅と同様、『最後の最後』に人の数が戻ってくる場所だと思います。まずは中洲の飲食業が活気を取り戻す、その後からが勝負だと思っています」と語る。
くまモンチロリアン発売
同社は2012年から地産地消チロリアン「九州パラダイス」の開発を進めている。JA福岡市とのコラボ商品「あまおうチロリアン」を皮切りに、「八女玉露チロリアン」「宮崎マンゴーチロリアン」などを開発・販売し、好評を博してきた。
今年3月、満を持して発売を開始したのが「チロリアン(濃厚ミルク味)くまモンパッケージ」だ。阿蘇小国ジャージー牛乳でつくった同商品は「おかげさまで売れ行きは絶好調です」(原田氏)。来年はチロリアン誕生60周年。それに向けて、まだ商品化できていない佐賀・長崎・大分・鹿児島のチロリアンの開発も進めていく予定だ。
新型コロナウイルス感染拡大の影響は菓子業界にも大きな影響をおよぼしているが、原田氏は「お菓子は福岡の文化です。1つの県にこれほど多くの菓子製造企業があるのは、福岡ぐらいです。これは地元の方々がお菓子を愛し、お菓子を中心とした贈答文化が根付いている何よりの証拠だと思います。福岡の菓子業界全体で福岡の街を盛り上げていきたいですね」と今後について語った。
【新貝 竜也】
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