【福岡県知事インタビュー】コロナ危機を乗り越えて~「選ばれる福岡県」を実現する(1)
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福岡県知事 服部 誠太郎 氏
今年3月24日、病気治療のため3期目途中で辞職した小川洋・前福岡県知事の後継として、4月11日の県知事選で当選をはたした、前副知事の服部誠太郎氏(66)。それまで総務省から任命されてきた財政課長に県政史上初めてたたき上げから抜擢され、その実力は県政関係者の誰もが認めるところだった。選挙戦を経て県知事に就任した服部氏。「小川県政の継承」とともに、まずは新型コロナ対策でその手腕が試されるかたちとなっている。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役社長 児玉 直)なによりもまずコロナを乗り越える
―県知事として決意を新たにされていたなか、新型コロナウイルスの感染拡大が収まる気配がない状況で、なかなか動きがとりにくいのではないですか。
服部誠太郎氏(以下、服部) 4月11日に当選させていただき、15日に初登庁したその日に直ちに新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開き、変異株スクリーニング検査の拡充などを指示しました。落ち着いて椅子に座っていたのは、知事室でマスコミの皆さんからの取材を受けたほんの10分ぐらいでしたね。それからはずっと、コロナ対策に全身全霊で取り組んでいます。
―長く、副知事として小川洋前県知事を支えてこられてきましたが、コロナ対策が急務であることも相まって、副知事時代とは重圧の質が違うのでは。
服部 組織のトップとして右に行くのか左に行くのか、進むのか退くのか最後の決断をしなければなりません。その責任の重みを改めて実感しています。副知事時代にも実質的にお任せいただくことや知事に進言することはありましたが、やはり質がまったく違います。重圧とは言いませんが、責任の重さを感じています。
―新型コロナ対策については、医学・科学の領域であるため、行政としてスピーディーな判断がしにくい部分があるのでは。
服部 難しいのは、新型コロナウイルスは、まだ十分な知見がなく、さらに人間がウイルスをコントロールできる状態にないということです。今はひたすら感染拡大を防ぐための対策を講じなければなりません。ようやく、ウイルスに対する「楯」であり「鎧」であるワクチンができましたが、「槍」である治療薬の開発には至っていません。インフルエンザのように治療薬ができれば対策も変わってくると思いますが、今の段階はとにかく感染しない、させないということを必死でやるしかありません。
―ワクチン接種については、どのように進めていくお考えでしょうか。
服部 現状ではワクチンが切り札です。県内でも市町村によっては医療従事者の確保が難しいところもあります。このため、県で広域接種センターを設置し、7月末までには希望される65歳以上の高齢者の方全員がワクチンを接種できるようにします。次いで64歳以下の方が接種するということになりますが、できるだけ早く県民の皆さま全員が接種できるようにしていきたいと思います。
―福岡県は5月25日に、国に対して緊急事態宣言の延長を要請し、5月31日から6月20日までの延長が決定しました。
服部 今回の感染拡大は変異株のアルファ株の影響なのか、広がりのスピードが明らかに早くなっています。さらにデルタ株になると、感染力が2倍ともいわれています。こうした変異株のリスクを考えると、やはり緊急事態宣言による抑え込み効果を見極める期間というのはしっかり取る必要があると思います。
―飲食店に対する休業要請が続いています。とくに今回の緊急事態宣言では酒類の提供ができなくなったため、その影響はかなり大きいとみています。
服部 県内の飲食店の皆さまには大変なご負担をおかけしています。県が2万5,000件ほどを調査した結果、99%近い皆さまが営業自粛の要請に協力していただいています。本当にありがたいと思っています。また、要請の回数が増え、期間も長くなっているなかで歯を食いしばって協力していただいていることに心から感謝いたします。
デリバリーやテイクアウトなど、飲食店の皆さまにはさまざまな工夫をしていただいています。また、ただ単に一軒の居酒屋さんの問題ではなく、食品関連企業や原料を提供する農林水産業にも影響しています。そこから関連する産業への影響が大きいわけです。できるだけ早く通常営業に戻れるようにしたいと考えています。今はとにかく事業を継続する意欲が失われないよう、協力金や月次支援金、家賃補助などの支援を行っています。このような厳しい状況でも、ウェブを使ったビジネスなど多くの事業者の皆さまがコロナ禍を契機に経営革新に取り組んでいます。こうしたアフターコロナを見据えた新たな事業者の取り組みも、しっかり支援していきたいと考えています。
(つづく)
<プロフィール>
服部 誠太郎(はっとり・せいたろう)
1954年生まれ。北九州市出身。福岡県立小倉高校を経て77年に中央大学法学部卒業。同年、福岡県庁入庁。2004年総務部私学学事振興局学事課長、06年総務部財政課長、09年総務部次長、10年福祉労働部長、11年10月福岡県副知事。21年4月、小川洋・前知事の辞職にともなう県知事選挙(4月11日投開票)で初当選、公選第20代福岡県知事就任。関連キーワード
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