2024年11月22日( 金 )

【縄文道通信69号】温故知新シリーズ~日本は縄文時代から女系社会(前)

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(一社)縄文道研究所

 Net-IB Newsでは、(一社)縄文道研究所の「縄文道通信」を掲載していく。
 今回は第69号の記事を紹介。

縄文時代から女系社会が基本構造

 筆者は商社時代の海外駐在を通じて、「日本女性は真の意味で自立性・主体性があり、家庭での主導権は女性が握り、夫よりも一般的に強い」、「日本女性は社会的に活躍する機会が少ないだけで、女性が活躍する時代は必ず到来する」と思っていた。

 とくに現地の人々と家族ぐるみでお付き合いして最も気がついたのは、日本女性が家庭内で財布を握っていることであり、とくにアングロサクソン系の家庭では圧倒的に夫が財布を握っており、女性はほとんど夫の支配下にあった。彼らに、日本では「家庭で女性が財布を握っているのが一般的である」と説明すると、驚くとともに、日本女性の表面的には見えない賢さと謙虚さに敬意を表してくれた。

女性 イメージ なぜ、日本女性が家庭内で財布を握っているのか。この問題に的確に答えていただいた方が縄文学者の上田篤教授である。上田教授の名著『縄文人に学ぶ』(新潮新書)は、「山村に母系制社会があった」こと、日本文化の基層に母系制社会が綿々と続いていたことが現代の「女性が家庭で財布を握る」に続いていることを教えてくれた。

 約1万3,000~1万4,000年もの長期にわたって継続した縄文文化は、狩猟漁労、採集生活者集団であったが、女性は一貫して里山を守る(家庭を守る)賢明な役割を演じてきた。まさにアニミズムの世界であったが、土偶や死者への弔いを巫女的に演じた女性の役割はシャーマニズム的要素があったことも、多くの考古学者や民族学者から指摘されている。

 縄文時代から弥生時代、さらに古墳時代に入った邪馬台国の女王は卑弥呼と言われ、巫女的な要素が強い存在であったことがさまざまな文献で明らかになっている。邪馬台国から古墳時代、そして飛鳥時代、奈良時代から平安時代に入り、『古事記』『日本書紀』により、正式な日本国の建国がなされた。とくに平安時代には8人の以下の女性天皇が現れた。

 33代 推古天皇  35代 皇極天皇  37代 斉明天皇
 41代 持統天皇  43代 元明天皇  44代 元正天皇
 46代 孝謙天皇  48代 称徳天皇

 これらの事実に加えて、平安末期には世界最古の長編文学『源氏物語』を書いた紫式部、さらに『枕草子』の清少納言といった女流作家が大活躍した。『源氏物語』は世界最古の女流作家による書籍でもある。また歴史家に言わせれば、結婚形態は「通い婚」で女性が力をもち、男性が従の立場であり、女性の母親が男性を選ぶ力を有していたという説もある。

<参考文献>
『縄文人に学ぶ』(上田篤著、新潮新書)
『縄文文化が日本人の未来を拓く』(小林達雄著、徳間書店)
『女系天皇』(工藤隆著、朝日新書)
『母性文化と父性文化比較表』(村田光平作成)
『日本古代史を科学する』(中田力著、PHP新書)

(つづく)


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(後)

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