「免疫」表示の機能性表示食品、日本抗加齢協会が「考え方」公表へ
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「食細胞」「NK細胞」なども免疫指標に
消費者庁の機能性表示食品制度で最大の関心事といわれる「免疫」表示について、(特非)日本抗加齢協会(東京都港区)が今週中にも、独自に取りまとめた届出の指針(免疫関係の機能性表示の科学的根拠に関する考え方)を公表することが、29日までにわかった。
「免疫」表示の第1号は、昨年8月に届出が公表されたプラズマ乳酸菌を配合した商品。しかし、それ以降、複数の企業がチャレンジしたものの、2番目は登場していない。そうした状況を受けて、同協会は「機能性表示食品の免疫機能性表示に関する検討会」を設け、届出要件に関する独自の「考え方」を整理した。
「考え方」のポイントは、科学的根拠に用いる免疫指標として、プラズマ乳酸菌を配合した商品で用いた「樹状細胞」に限らず、「食細胞」「NK細胞」「T細胞」などの活性化も有用とした点。これらの免疫指標が複数動いていることが望ましいとしている。
ただし、免疫指標が免疫全体を調整することを科学的に説明できることが重要となるため、その作用機序の明記を必須としている。
「自然免疫」「獲得免疫」についても言及。両方を調整していることが望ましいが、「自然免疫」のみでも問題ないとの考え方を示した。
鍵握る免疫指標と免疫全体の関連性
消費者庁によると、同協会の「考え方」は「(消費者庁の)届出ガイドラインに反するものではない」(食品表示企画課)という。その一方で、「日本抗加齢協会が(業界)団体として出すものであり、消費者庁としては従来の姿勢のまま対応していく」(同)と、届出要件のハードルを下げることは予定していないと強調する。
消費者庁の見解を整理すると、次のようになる。
初の届出公表となったプラズマ乳酸菌には「樹状細胞」を活性化する作用があるが、免疫指標をこれに限定していない。科学的根拠のアウトプットは、生体での体調変化であることが必須。加えて、免疫指標と生体での体調変化の関連性について、合理的に説明されていることが求められる。少なくとも、これらすべてが必要となる。
これまでに多数の企業が「免疫」表示にチャレンジしてきたが、届出が公表されたのはプラズマ乳酸菌関連のみ。各社が失敗した原因は、「指標のみによって何とかしようとした」(同)ため。試験管内の試験や動物実験による結果は示しているものの、生体での根拠が不十分だったり、免疫指標と体調変化の関連性が明確でなかったりしたわけだ。
消費者庁の届出ガイドラインでは、NG事例として次の点を挙げている。
「限られた免疫指標のデータを用いて身体全体の免疫に関する機能があると誤解を招く表現、㏌ vitro試験やin vivo試験で説明された根拠のみに基づいた表現、抗体や補体、免疫系の細胞などが増加するといったin vitro試験やin vivo試験で科学的に説明されているが、生体に作用する機能が不明確な表現など」。
消費者庁はこの点を引き続き堅持する方針だ。言い換えれば、「(「樹状細胞」以外の)ほかの指標を用いたとしても、身体全体の影響との関係性をしっかりと説明できればクリアできる」(同)ことになる。
届出が公表されるためには、機能性表示の表現方法も問われる。第1号となったプラズマ乳酸菌を配合した商品では、「健康な人の免疫機能の維持に役立つ」旨を表示している。
表示内容が医薬品医療機器等法(薬機法)に抵触しないか、消費者庁から厚生労働省へ照会した経緯がある。この表現を少しでも逸脱すると、届出をクリアできないと考えるのが妥当だ。この観点からいえば、「腸管免疫」など局所に着目した届出については、ハードルがいっそう高くなる。
また、同協会が「考え方」で示す「自然免疫」「獲得免疫」については、届出ガイドラインを含め、消費者庁では言及してこなかった。このことから、ケースバイケースで判断されるとみられる。
安全対策は“蚊帳の外”?
同協会の「考え方」は健康食品業界の要望を踏まえ、免疫の有効性に焦点を当てた。一方、安全性に関する対応策は抜け落ちていて、消費者利益の観点からは不十分といえる。
安全性の検証、摂取を避けるべき対象者への注意喚起表示などについても、早急に提言することが求められそうだ。
【木村 祐作】
法人名
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