J-SCOREとBISが初の共催、「健康・医療に関するシンポジウム」開催(後)
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大麦の国内生産拡大と消費拡大を提言
日本総合技術研究所・所長で(一社)健康長寿実現推進機構・代表理事の東海林義和氏は、「日本産機能性大麦(もち麦)の健康食品としての事業展開」をテーマに講演した。
「体に良い根拠ははっきりしていて、国内外で科学的に解明されている」と指摘。米国・カナダ・欧州・豪州などで、健康強調表示が認可されている現状を紹介した。日本でも消費者庁の機能性表示食品として大麦βグルカン配合の製品が多数登場し、「腸内環境の改善」などの効果を表示していると説明した。
大麦に含まれる成分のうち、とくに水溶性食物繊維のβグルカンが健康への効果を発揮し、注目されているという。食物繊維には不溶性と水溶性があり、水溶性食物繊維を含む食品はたくさんあるが、含有量の点で日常の食生活で補給するためには大麦の摂取が重要と主張した。
一方、日本人の大麦摂取量は減少傾向にあり、東海林氏は「現在では年間0.3kg程度で、ほとんど食べられなくなっている」と嘆いた。生産量も年間17万トンにまで激減し、そのうち食事に用いる大麦は7万トン程度にとどまっている。
大麦の自給率は8%とその多くを輸入に頼っているが、国際的な食料危機を迎えるなか、国内生産の推進を重要課題に挙げた。「農業生産を活性化するうえで、持続的な経済システムが重要となるが、大麦などの生産はこれに適している」と述べ、大麦の国内生産拡大と消費拡大を提言した。
鹿児島大学、地元特産物の機能性を研究
鹿児島大学農学部の加治屋勝子氏は、「鹿児島特産物が持つ健康機能性」について講演した。
これまでの研究により、桜島大根に血管への作用があることを突き止めたと報告。「(血管の柔軟性を保つ)一酸化窒素は加齢にともなって産生量が減っていくが、スクリーニングの結果、これを減らさない食品として桜島大根があることがわかった」と述べた。「食事に取り入れることができる量で、体に良い作用をおよぼすことができるのは桜島大根くらい」との見解を示した。
桜島大根に含まれる「トリゴネリン」という成分が関与していることも判明。「トリゴネリン」の含有量は品種に関係なく、桜島大根ならば相当量が含まれているという研究結果も披露した。
また、ゆで、揚げ、レトルト、冷凍であっても、「トリゴネリン」の含有量は影響を受けないこともわかった。
市内の病院に協力を得て、桜島大根の摂取前後の血管機能を調べたところ、血管内皮機能と血中トリゴネリン濃度に関連性が認められたという。
加治屋氏は、鹿児島県内で栽培される特産物のナタマメに関する研究も大学内で実施していると報告。マメ類のACE阻害活性(血圧上昇抑制作用)を比べると、ナタマメがもっとも強いことがわかったという。
関与成分を調べたところ、トリペプチドの1種であることを突き止めている。「今後はナタマメの葉やツルなどについても効果を研究したい」と話した。
(了)
【木村 祐作】
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