連合(アライアンス)が中小企業の、さらには日本の文化・伝統の持続へ〜川邊事務所会長・川邊康晴氏に訊く(3)
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「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が全会一致で採択された2015年9月の国連サミッ トから、今月でちょうど丸6年。そこに掲げられた17の「ゴール」および169の「ターゲット」、いわゆる「SDGs」(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)に沿って、各国では様々な取り組みが進んでいるようだ。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)
積み上げた信頼=「川邊康晴」というブランド
川邊氏は今年86歳。いまも川邊事務所には、全国各地から引きも切らず「アライアンス」の相談者が訪れる。最近は新たな要望に応えて首都圏の企業などの九州支店業務の引き受けも始め、事業にいっそうの安定性が加わるようになった。
頼もしい後継者も育っている。㈱Kアライアンス・ジャパンの岡崇史社長のことだ。川邊氏によれば、個人事務所を立ち上げたちょうどそのころ、「うちで修行したいといって25歳で飛び込んできた若者」。しばらく事務所でともに仕事をしていたが、川邊氏は2005年、そろそろ事業継承の「器」が必要と考えKアライアンスを設立。11年にこの若き人財を社長に据えた。若き後継者は師の心と人脈をしっかり受け継ぎ、さらには自身の若い世代の人脈も追加して、「今、福岡で一番人脈を持っているといっても過言ではない」マッチング事業者に成長している。
それでも川邊氏は歩みを止めない。これまで幾多の企業を成功に導いてきながら、いまも「テレビを見たり本を読んだりしても、これはあの社長さんとコラボできるな、きっとお喜びになるぞと考えている」。つい最近も「川邊事務所の『人融』が奏功し、こんな時代でも3年で上場できました」との喜びの訪問を受けて、「私にとってお客さんの喜びが作品みたいなものと改めて思う」。自分と自分の事業について、謙虚な気持ちで向き合い続けていることが、次の言葉からもよく伝わってくる。
「私は、お客さんを喜ばせる知識とか経験とか、山ほど持っているわけじゃないんですよ。自分自身はゼロだと思っています。だから、自分より優れた人を紹介する。それも知識として教える人(そんな人は山ほどいます)ではなく、実行できる人を。かたちにできる人を。」
このことは、同事務所の事業の「報酬」のあり方にもよく表れている。「相談に乗ること、人を紹介することそのものをもって報酬はいただきません。私が仲介者となったアライアンスが、実際にお客さんの事業の問題解決として結実したとき、その時にはじめて『報酬』をいただくんです。『それでいいのでしょうか?』と驚かれることもありますが、お客さんに『納得』していただくとは、その方にとっての『得』をこちらが『納める』ということですから」。マッチングに際しても、綿密な調査を重ね、お客の「損害」になるような仲介は絶対にしない。こうして積み上げられてきた川邊康晴というたしかな信頼=「ブランド」こそ、川邊事務所を持続・発展させてきたものの本質である。
(つづく)
【文・構成:黒川 晶】
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