立憲民主党支持が高まらない理由
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は共産党を含む野党共闘体制を構築することが日本政治の刷新に必要不可欠だと訴えた10月17日付の記事を紹介する。
衆院総選挙が10月19日に公示される。
投票日は10月31日。
安倍・菅政治が9年近くにわたって持続し、政治の劣化が目を覆うばかりになった。
菅内閣の支持率が3割を割り込み、自公が野党に転落することも現実味を帯びた。
しかし、9月3日に菅義偉首相が辞意を表明して以来、情勢が急変した。
自民党は党首選出に1カ月の時間をかけた。
この間、主要メディアが自民党の広報機関と化した。
新自由主義路線継承を色濃く表出した河野太郎氏がメディアの誇大宣伝にかかわらず失速。
新自由主義政策路線からの転換を唱える岸田文雄氏が新しい党首に選出され、10月4日に岸田文雄内閣が発足した。
菅義偉首相の辞任によって自民党の支持率は大幅に上昇した。
岸田文雄氏は「政治とカネ」疑惑に対する十分な説明責任をはたしていない甘利明氏を自民党幹事長に起用。
この結果、岸田内閣の支持率は政権発足時としては異例の低さとなった。
岸田氏は甘利明氏を幹事長に起用すれば国民から批判を受けることを認識した上で、あえて甘利氏を起用したと見られる。
背景には野党第一党の不人気持続がある。
甘利氏起用でも与党過半数割れはないとの読みがあるのだろう。
本来は政権交代に向けての期待感が沸騰する局面。
ところが、その高揚感はない。
最大の理由は野党第一党の立憲民主党に有権者の政権刷新実現への期待を呼び起こす迫力がないことにある。
政策を基軸に党派を超えて強い連帯を構築する。
強固な選挙協力を実施して与党を過半数割れに追い込む。
この気魄がなければ政権交代を実現することは難しい。
自公は立憲民主と共産の共闘を「野合」と批判するが、自民党もかつて基本政策で対立する社会党と連立政権を構築している。
これまでの自公政治に正面から対峙し、自公政治の腐敗を厳しく追及してきた共産党こそ、野党の要の地位を確立している。
立憲民主党が政権刷新を求めるなら、共産党と強い共闘体制を構築しない選択はない。
ところが、立憲民主党が共産党との共闘体制構築に背を向けている。
枝野幸男氏は記者に対してこう述べた。
「「野党共闘」というのは皆さんがいつもおっしゃっていますが、私の方からは使っていません。
あくまでも国民民主党さんと2党間で連合さんを含めて政策協定を結び、一体となって選挙を戦う。
共産党さんとは(共産、社民、れいわの3党と一致した政策に)限定した範囲で閣外から協力をいただく。」
枝野氏は共闘の対象は国民民主と連合であって、共産、社民、れいわとは共闘しないと述べている。
総選挙に向けて共産党が候補者擁立を取り下げて野党候補の一本化に尽力している。
共産党の支援なしに当選できる立憲民主党候補者は多くない。
しかし、その立憲民主党が共産党に対して非礼な対応を続けている。
連合は本来の労働組合と大企業御用組合の寄り合い所帯だが、現在の連合を支配しているのは大企業御用組合。
大企業御用組合の使命は左派陣営の分断にある。
左派陣営を「共産党と共闘する勢力」と「共産党と共闘しない勢力」に分断し、対米隷属政治を維持すること。
これが大企業御用組合の使命だ。
連合の大企業御用組合が連合の六産別。
連合は会長が神津里季生氏から芳野友子氏に交代したが、芳野氏が早速「共産党との閣外協力あり得ない」と叫んでいる。
立憲民主党の枝野幸男氏は、立憲民主党は共産党、社民党、れいわと共闘せずに、国民民主党、連合と共闘すると述べている。
これでは共産党を含む野党共闘は大きな力を発揮しないだろう。
日本政治刷新を求める主権者の多くも立憲民主党を支援しないだろう。
枝野幸男氏は10月13日の記者会見で
「ぶれ続ける岸田首相を選ぶのか、一貫している枝野を選ぶのかが争点だ」
と述べたが、枝野氏が野党共闘に背を向けていることを踏まえれば、政治刷新を求める主権者であっても、枝野氏よりは岸田氏のほうがまだましと判断することも多いのではないかと考えられる。
日本政治を刷新するには共産党を含む野党共闘体制を構築することが必要不可欠。
共産党は連合政権が樹立されるなら閣外協力でも構わないと一歩引く大人の対応を示す。
この共産党を大切にしないなら、その咎は立憲民主党に降りかかるだろう。
※続きは10月17日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「立憲民主党支持が高まらない理由」で。
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