共闘派と反共闘派の分離熱烈歓迎
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は徹底的な路線論争を明示することが重要だと訴える11月4日付の記事を紹介する。
「共産党と共闘する勢力」と「共産党と共闘しない勢力」との間にある違いは何か。
違いが重要で決定的なら、両者が同居することに矛盾と無理がある。
「共産党と共闘しない勢力」の代表が「連合六産別」と「国民民主党」。
この人々の主張は次の傾向をもつ。
1.戦争法制=安保法制を容認
2.原発稼働を容認
3.新自由主義経済政策を容認=消費税増税を容認
これが基本政策。
これに対して「共産党と共闘する勢力」の主張には次の傾向がある。
1.戦争法制=安保法制に反対
2.原発稼働ゼロ
3.共生の経済政策=消費税減税・廃止
これが基本政策。
根本的な相違がある。
この勢力が同居していることに矛盾がある。
2017年に旧民進党が立憲民主党と国民民主党に分離したとき、矛盾解消が期待された。
立憲民主党が「共産党と共闘する勢力」として分離・独立したと理解された。
実際、立憲民主党は共産党の選挙協力を得て議席を増やした。
ところが、紆余曲折があった。
背景に「共産党と共闘する勢力」が拡大することを阻止しなければならないという既得権勢力の思惑があった。
1960年に民社党が創設された。
日本の革新勢力が一枚岩で連帯することを阻止するための工作だった。
民社党の創設に資金支援したのがCIA。
民社党の支援母体とされたのが大企業御用組合連合体である「同盟」だった。
日本の革新勢力が大同団結して選挙に臨むと、いつでも政治刷新、政権交代が生じ得る。
実際、2009年には鳩山内閣が誕生した。
日本の既得権勢力にとっての「悪夢」だった。
この「悪夢」を繰り返さないこと。
これが日本の既得権勢力の至上命令である。
旧民主党=旧民進党が分離・分裂して、「共産党と共闘する勢力」と「共産党と共闘しない勢力」にわかれることは、既得権勢力にとって極めてリスクが大きい。
立憲民主党と国民民主党に分離・分割されて、この方向感が鮮明になった。
「共産党と共闘しない勢力」としての国民民主党が弱体化して立憲民主党が拡大した。
この状況を踏まえて、日本の既得権勢力が立憲民主党に手を入れた。
立憲民主党をかく乱し、立憲民主党が「共産党と共闘する勢力」として純化することを阻止しようとした。
工作部隊の先頭に立ったのが「連合」。
「連合」は旧同盟系組合と旧総評系組合が核になって構築された連合体だが、その主導権を確保したのは旧同盟系組合である「六産別」。
電力、電機、自動車、鉄鋼、機械、金属、繊維、流通等の大企業御用組合連合だ。
連合加盟組合員数は約700万人。
そのうちの約6割に当たる約400万人が「六産別」組合員。
全労働者の6%に過ぎない。
全労働者の6%に過ぎない大企業御用組合連合が立憲民主党に介入し、立憲民主党が振り回されている。
CIAをバックボーンとする彼らの目的は対米隷属・新自由主義追求日本政治を堅持すること。
この目的から、日本の革新勢力の大同団結を妨害している。
立憲民主党がこの混乱から抜けきれないなら、新たに革新連合を創設することが必要になる。
共産党、れいわ、社民と立憲民主党内の革新勢力が大同団結することが必要になる。
立憲民主党が第二自公の方向に進むなら国民民主党と差異がなくなる。
両者が合流しても主権者の強い支持は得られない。
政治刷新を求める日本の主権者は、第二自公勢力と明確に訣別する判断を示すことが必要になる。
今回の総選挙で立憲民主党が獲得した議席数は96で改選前から13議席減。
政権交代の可能性すらあった状況を踏まえれば歴史的大惨敗。
2010年7月総選挙における菅直人民主党大敗北に匹敵する。
このときは菅直人氏が党代表、首相の椅子にしがみついた。
その結果、民主党は奈落に転落した。
今回は枝野幸男氏が辞意を表明したから、このときよりは適正な対応が示されている。
しかし、立憲民主党が第二自公路線と訣別して革新勢力としての方向を明示できなければ党勢の回復は難しい。
2022年参院選でも敗北を重ねることになるだろう。
日本の主権者多数が日本政治刷新を求めている。
安倍・菅政治が9年近くも続き、日本政治の腐敗が進行した。
特定秘密保護法、戦争法制、共謀罪創設などの悪法制定が強行され、憲法解釈まで憲法改正の手続きを踏まずに強行された。
森友、加計、桜の疑惑はすべてが低次元の政治私物化事案。
これらの問題について、現時点でもなお真実の解明と適切な責任追及が行われていない。
※続きは11月4日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「共闘派と反共闘派の分離熱烈歓迎」で。
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