【経済事件簿】投資セミナーに利用されたのか 中間市とBGS プロジェクト(3)
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コロナ禍に揺れた 2021年、度重なる陽性者数の増減に対し先行きに不安を覚えた人も数多くいるだろう。先行きへの不安・不満が漂えば、より活発化するのが“いい話”を盛り込んだ投資話。昨年、派手な演出と PR からひと際注目された投資事業がある。半沢龍之介氏による BGS プロジェクトだ。半沢氏は 21 年 4 月 21 日、福岡県中間市の一日市長に就任。
一般人向けに行われた投資セミナーでは、半沢氏への信頼の証としてその様子が PR されていた。投資セミナーの内容は?
前回(【経済事件簿】半沢龍之介氏、BGSプロジェクトの成否は?(2))、BGSプロジェクトの関係者について述べたが、側近らがプレゼンしたセミナーは、どのような内容だったのだろうか。
今回、調査したのは、昨年12月にClick Holdings(株)(東京都渋谷区)社屋の地下1階で行われたセミナーだ。セミナー会場は30人程度を収容できる広さで、著名な漫画家やアニメ作家の版画が壁面に数多く飾られていた。これらの版画は後述するNFT事業のPR材料として活用されていたが、著名人との関係の深さを、ことさら強調しているかのように見えた。
セミナーへの参加は、基本的に紹介者ありき。「マルチ商法」なので、ネットなどで紹介者なしで申し込みを行うにはLINEで“友だち”になる必要がある。また、どのようにしてセミナーを知ったかを答えなければいけない。
「半沢押し」の一点張り
セミナーは90分間、休憩なしで行われた。セミナーで終始一貫して強調されるのが半沢氏の“凄さ”と“実績”だ。
実際、セミナー(約90分)のうち、約7割が半沢氏の経歴・実績の説明で占められており、「これほど凄い半沢龍之介がトータルプロデューサーをしているから、失敗することはないだろう」と訴えている。しかし、セミナー内容を見てみると、事業についての具体的な内容に乏しく、やや大げさな表現が目立った。
大げさな表現とは、「ゲーミング界の神と呼ばれている」「破壊的イノベーションを行っている」「半沢がこれまでマーケティングで導入してきたアプリによって、いくつかの市場が終わりを迎えていると言われている」「芸能人だけではなく、著名なビジネスマンとの交流がある」「行政と連携が取れているのは、社会的信用の証」など。自らをどう表現しようと勝手だが、ここまで言うと逆に訝しく思う人の方が多いのではないだろうか。
筆者がとくに気になったのは、破壊的イノベーションの部分で、一例としてアプリの「ポケカラ」が挙げられる。ポケカラとはスマートフォン用アプリであり、無料でカラオケができるとして若者を中心に人気のアプリだ。
セミナーでは、「コロナ禍によって、約1,000店舗のカラオケ店舗が閉店に追い込まれたとされているが、実際は半沢氏が広めたポケカラによるものだと言われている」と述べていた(あくまで「言われている」という表現)。
「カラオケに行くし、ポケカラも利用する」という若い世代に聞いたところ、「カラオケとポケカラは別物」とする意見が多い。ポケカラは、車内や限られた空間でなければ、カラオケのように大声で歌うことができないからだ。ここでポケカラの人気・認知度を評するつもりはないが、ポケカラがカラオケ店舗閉店に与えた影響は、限定的なのではないだろうか。
講演者は誇大広告を意識してか、断定した表現をしないように細心の注意を払っているようだった。そのため「~といわれている」「いずれ~こうなるだろう」「世間では~とされている」などの表現を多用していた。投資セミナー自体が、将来への期待を膨らませるプレゼンともいえるため、よく使われている表現ではある。慎重に話を聞く人なら序盤は、これらの表現に注意するだろう。しかし、90分間、講演者が一方的に訴えている内容を何度も耳にすれば「そうなんだ」と思えてくるから不思議だ。
(つづく)
【特別取材班】
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