【廃炉は遠き夢】トラブル続きの福島第一原発 11年目の惨状(2)
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福島自然環境研究室 千葉 茂樹
「富岡町の立ち入り規制緩和」(2022年1月26日) 2023年春に避難指示解除(入れるようになる)を目指している富岡町の立ち入りが緩和された。
「原発1号機格納容器調査開始」 2022年1月12日から調査する予定だとされていた。しかし、1月12日、水中ロボットの線量が正しく表示されないという問題が発生し、調査が止まった。1月26日、不具合の原因はロボットのケーブルの電気ノイズの可能性と発表。2月8日、水中ロボットが格納容器内に入り調査を開始した。8日と9日の調査で、1号機底部に厚さ約90cmの堆積物が見つかった。また、放射線量は1~11Sv/hと非常に高い。2月9日、東電は、8日の堆積物は核燃料デブリの可能性があると発表した。
「凍土壁の冷媒4t漏洩」(1月16日) 凍土壁の原理は一種の冷凍庫で、原発の建屋周辺に冷却棒を入れて氷の壁をつくっている。その冷却液(冷媒)が約4t漏れていることがわかった。冷媒は塩化カルシウムで、凍結防止剤と同じで有毒ではない。1月20日には、凍結管1本の破損が確認。さらに2月15日にも、原発2・3号機で、冷媒の漏洩が見つかった。漏洩量は10t以上とみられる。2月17日、漏洩の原因は、配管連結部のゴムリングのズレとの発表があった。
「双葉町で準備宿泊開始」(1月20日) 帰還困難区域の復興再生拠点区域において、その解除を目指す双葉町で準備宿泊が始まった。
「核燃料の保管を乾式に変更」(1月22日) 東電は現在、水中(プール)で保管している核燃料を、2022年3月から乾式に変更する(専用のケースに入れる)と発表した。
「クロソイから放射性セシウム検出」(1月26日) 相馬沖で獲れたクロソイ(魚)から1400Bq/kg(基準は100Bq/kg未満)の放射性セシウムが検出された。実に基準値の14倍に相当する。
「福島第一原発の汚染水150t/日」(1月26日) 東電は、メルトダウンした核燃料デブリの冷却で生じた汚染水が、2021年は1日当たり約150t発生したと発表した。
「EU原発グリーン認定 総理経験者5名は撤回要求の書簡送る」(1月26日) 日本の首相経験者5名は、欧州連合が温暖化対策のエネルギー源として原発を認めたことに対し、「亡国の政策」と批判し撤回の書簡を送った。これに対し福島県は、27日「甲状腺がんと放射線被曝の関連は認められない」と撤回を求めた。2月7日、岸田首相は衆議院予算院会で環境省がこの書簡について「適切でない」とした経緯、さらに「政府は科学的知見に基づき情報発信する」と述べた。
「廃炉作業、被ばく線量、非公開に」(1月26日) 東電は、廃炉作業に携わる作業員の被ばく線量を個人情報の観点から非公開とすると発表した.
「ALPS処理水海洋放出のモニタリング会議」(2月9日) 専門家会議は、海洋放出の際に政府が実施するモニタリング調査について、「トリチウム、セシウム134・137など7核種は年4回、ALPSの処理対象の62核種および炭素14は年1回」とした。
「ロボットアームで核燃料デブリの取り出し実験」(2月14日) 福島原発2号機で、ロボットアームの操作実験が始まった。
「IAEA 処理水海洋放出の安全性調査」(2月14日) 国際原子力機関(IAEA)の調査団は、ALPS処理水海洋放出の安全性を検証するための調査を開始した。18日、IAEAは、調査を終了し、4月に結果を発表するとした。
「『原発処理水は安全』国が学校にチラシ」(2月20日) 福島第一原発のALPS処理水の海洋放出について、「安全」とする国のチラシが全国の学校に届いた。
「福島県、処理水の公文書24件を不開示」(2月15日) 福島県は2021年4月以降、公文書24点を不開示としていたが、21日、TUF(テレビユー福島)の指摘から、一部を開示した。
「ALPS処理水で魚飼育実験」(2月24日) 東電はALPS処理水を使い魚の飼育実験をすると発表した。飼育はヒラメとアワビ。
「“ベント”で汚染の配管 撤去作業開始」(3月1日) 東電は、ベント(放射性物質を含んだガスの緊急放出)の際に使用した「SGTS配管」の撤去を開始したが、細断装置の不具合で作業を中断した。
「除染土、都道府県の7割に国の説明なし」(3月8日) 福島県内の除染で出た土などは、2045年3月までに福島県外で最終処分することが法律で定められている。しかし、都道府県の7割が国から説明を受けていないことが判明。また、除染土を受け入れるという都道府県は1つもなかった。
(つづく)
<プロフィール>
千葉 茂樹(ちば・しげき)
福島自然環境研究室代表。1958年生まれ。岩手県一関市出身。専門は火山地質学。2011年3月の福島第1原発事故の際、福島市渡利に居住していたことから、専門外の放射性物質による汚染の研究を始め、現在も継続している。関連キーワード
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