2024年07月18日( 木 )

分科会も2回接種証明の意味否定

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、ワクチン未接種者に対する不当な差別的取り扱いが放置されていると主張した3月24日付の記事を紹介する。

岸田内閣はまん延防止等重点措置をすべての都道府県で解除するとともに、いきなり旅行および会食の推進策を実施した。オミクロン株の感染は高水準を維持している。支離滅裂というほかない。まん延防止等重点措置が的外れだったことを意味している。

都道府県などが旅行者に利益供与を行う。その条件として「ワクチン2回接種の証明」提示または陰性証明提示を義務付ける。いわゆる、運用停止したワクチン検査パッケージ(以下V/T制度と呼ぶ)を復活させる。Vはvaccine、Tはtestの意味。

岸田首相は1月18日の記者会見で、ワクチン検査パッケージを原則として一時的に運用停止することを表明した。運用を停止する理由について岸田首相は次のように発言した。

「ワクチン・検査パッケージについては、ワクチン2回目の接種を済ませた方でも、感染される方は多く報告されているということを聞いております。ですからワクチンの部分について、今のパッケージの有効性についていろいろな議論があるということは承知しています」。

ワクチン2回接種済みでもコロナに感染する。従って、ワクチン2回接種は感染防止上、有効性をもたない。そのために、ワクチン検査パッケージの運用を停止した。

ところが、今回、岸田首相は旅行に対して利益供与策を実施する際に、ワクチン2回接種を条件とすることにした。

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現在の感染はオミクロン株。オミクロン株において、ワクチン接種は感染防止の意味をもたない。それにもかかわらず、利益供与策提示にワクチン2回接種を条件にするという。科学的知見を無視した施策。反知性主義を象徴している。要するに、ワクチン非接種者への嫌がらせを強行したいということなのだ。

3月11日に新型コロナ感染症対策分科会が開催されて、V/T制度について論議があった(https://bit.ly/3qy91mZ)。事務局が提示したペーパーには次のように記述されている(資料7参照)。

1.要件について 
〇追加接種を必須としてはどうか。2回接種からの時間経過にかかわらず、追加接種を必須としてよいか。

〇制度のわかりやすさや実務的な負担、オミクロン株に対する効果などを考慮すれば、追加接種を必須としてもよいのではないか。

2.有効期限などについて
〇ワクチンの効果は時間の経過とともに減弱することが報告されており、接種後4カ月でも長いとの意見もあった。 

〇他方で、 
・そもそもVTP制度においても、ワクチンの効果には一定の限界があることを前提として考えていたこと
と記されている。

ワクチン2回接種はオミクロン株感染予防に効果がないことから、3回接種を要件とすることが示されている。

また、有効期限については、4カ月でも長すぎるとの見解が示されている。つまり、ワクチン2回接種を要件とすることに反対の見解が示されている。それにもかかわらず、3月11日付の「中間とりまとめ」(https://bit.ly/37Yi2zt)には次のように記述された。

2.ワクチン接種の要件
・追加接種を要件とすることが望ましいが、地方公共団体や民間事業者等の判断により2回目接種者も認めることも可能。

結論ありきの対応。ワクチン2回接種ではオミクロン株感染予防効果がない。このことから1月にV/T制度の運用停止を決めた。

分科会の論議でもワクチン2回接種では意味がないことが確認されている。それにもかかわらず、ワクチン2回接種を要件として政府による利益供与策始動が決定された。

また、「中間とりまとめ」には、次の点が明記された。

5.留意点
・活用に当たっては、不当な差別的取り扱いにならないよう、留意することが必要。

ところが、ワクチン未接種者に対する不当な差別的取り扱いがそのまま放置されている。このまま運用を強行すれば、全国で無数の訴訟が提起されることになるのは間違いない。

※続きは3月24日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「分科会も2回接種証明の意味否定」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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