2024年12月22日( 日 )

欧州企業の23%が中国撤退を予定

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中国 都市 イメージ    中国はここ数カ月、各地で発生している新型コロナウイルス、またそれにともなう政府の厳しいゼコロナ政策により、外国企業の活動に重大な支障が出ており、アメリカやヨーロッパの企業が中国進出を中止したり、中国からの撤退を考えたりしている。

 中国アメリカ商会が5月9日に発表したアンケート結果を見ると、中国に進出している企業のうち、2022年度の売上予想を下方修正した企業が回答数の6割近くを占め、中国進出計画を延期または下方修正すると答えた企業が半数以上に達している。

 このアンケートは、コロナの影響調査を目的として、中国に進出しているアメリカ企業121社を対象に4月29日から5月5日にかけた実施された。社員やサプライチェーンに関する問題がとくに厄介であるとし、オンラインやリモートでの勤務体制を敷いていると答えた企業が81%、コロナの影響でサプライチェーンや交通、海上輸送がストップまたは遅延しているという企業が61%であった。

 中国政府が先ごろ発表した、輸送対策や車両通行証などサプライチェーンや産業チェーンの安定化を図る措置について、会社の運営や仕入れ面にプラスになると答えた企業は12%、一方で不安定な供給状態は解消されないとの回答が56%に達している。

 生産や運営の一部が回復したとの答えは68%で、そのうち半数が、不安定な供給状態が長引いていることを最大の経営課題に挙げている。上海に進出している企業のなかでは、15%がいまだに業務再開をはたしていない。

 上海では、日本商エクラブも4月27日から4月30日にかけてアンケートを行っており、ロックダウン中に活動を停止した日系企業は80%、運営許可を得たのは40%以下、申請中または未申請が60%以上であった。

 また社員について、外国人社員がコロナとその感染対策を恐れて中国勤務を望まない、または拒否していると答えた割合が、アメリカ企業のうち49%であった。隔離や長期のロックダウンが心配なのである。

 中国アメリカ商会のコルム・ラファーティ会長は、今も中国への入国は相当厳しく、今年夏には外国人材が離職するだろうと述べた。「今の状態が続くようであれば、グローバル企業はほかの地域へのシフトを検討し始める。会員企業の半数以上が中国での年間業務計画一を延期または下方修正している」とのことである。

 このアンケートによると、アメリカ企業のうち中国進出を延期または下方修正するとの回答が52%、未定が44%となっている。

 また、中国EU商会が5月5日に発表したアンケート結果によると、現地に進出しているヨーロッパ企業のうち、2022年は売上が落ち込むと答えた割合が6割近くを占めたほか、現在実行中、もしくは計画中の中国事業の他の国へのシフトを検討している割合が4分の1近くとなっている。

 このアンケートは、中国EU商会とコンサルティング会社のローランドベルガーが共同で、4月21日から27日にかけて商会の会員各社に対して行ったもので、計372社から回答を得ている。これによると、2022年は売上が落ちこむと答えた割合が58%で、その落ち込み幅について6~15%と答えたのが半数以上、16%~20%ダウンが19%、20%以上落ち込むと予測したのは15%であった。

 見通しの利きそうなビジネス環境を求めて、現在実行中、もしくは計画なかの中国事業の他の国へのシフトを検討している、と答えた割合は23%であった。

 ヨーロッパ各社のこうした方針転換については、さまざまな理由がある。物流面で影響を受けたと答えた割合は94%、サプライチェーンで影響を受けた割合が92%であった。3月中旬~4月初め、上海港からの貨物出荷数量は4分の1減り、中国全体の道路貨物輸送量は前年同期より40%落ち込んでいる。

 生産面では、上海、長春、深センなど主な工業都市での操業規制により生産活動に影響が出た、との割合が83.3%、契約の履行が難しくなったとの回答が83%を占めた。

 また、コロナ規制が一段と強化された2022年2月以降、出張者が激減し、社員が職場に入れなかったりほかの地域に行けなくなったりした、との答えが97%に達し、対面交流をすべてオンラインやビデオでまかなうのは無理で、現場会議ができないことでビジネス往来に支障が出ている、との答えが95%であった。そして投資の評価や意思決定がままならない、と12%の企業が答えている。

 中国商会のイェルク・ブトケ会長は、「今は、ヨーロッパ企業の幹部が中国を視察し、意思決定をするのは困難だ」と述べた。現地の外国人社員が契約期間満了を迎えるなか、中国勤務を希望する社員が現れない。東南アジア各国では、こうした問題はほとんどないという。 

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 ヨーロッパ企業にとってまた厄介なのは、社員の離職である。コロナ規制により人材を失ったと答えた割合が4分の1以上(27%)に達しており、このうち離職率が高いのは、教育(離職者が出た割合が80%)、法律(同46%)、小売(同43%)といった「消費者向け」の業界である。

 今のコロナ感染対策の在り方について、60歳以上の高齢者などハイリスク群を中心にワクチン接種率を向上すべき、と答えた割合が91%、公共医療体制の負担軽減のため無症状または軽症の感染者の自宅隔離を許可すべき、との答えが82%であった。


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