【中村典昭氏の暗躍レポート(1)】説明会に潜入
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ネット上でさまざまな商品を売買できる現代においても、いまだに紹介者を介して顧客を拡大し、販売を行う「マルチ商法」が横行している。データ・マックスでは、主に年金受給者である高齢者をターゲットにして健康食品の販売を行う「KAKUGO(同)」(東京都豊島区、中村典昭代表)が開催した説明会に潜入取材した。
マルチ商法とねずみ講の相違点
マルチ商法は「ネットワークビジネス」「システム販売」などとも呼ばれており、「怪しい」「いかがわしい」という印象を持つ方も多いのではないだろうか。会員が組織外の人間を勧誘する「ねずみ講」と類似点が多いことも、その要因の1つだと思われる。
ねずみ講は「無限連鎖講」とも呼ばれ、文字通り会員が無限に増えていくような仕組みになっている。ねずみ講とマルチ商法の最大の違いは販売する商品の有無である。ねずみ講は、あたかも商品を販売するかのようにして、実際は親会員が組織外の人間を勧誘して組織を拡大し、自分が会員にした人間から歩合を受け取ることができる。商品の売買実態はなくても組織を拡大することで儲けが得られる、いわば「マネーゲーム」と言っても良いだろう。
70年代に入ると、ねずみ講をめぐるトラブルが続出した。そのため1979年に「無限連鎖講の防止に関する法律」が施行され、ねずみ講は法律で完全に禁止されることとなる。一方、マルチ商法は、特定商品取引で連鎖販売取引に分類されている合法のビジネスだ。ねずみ講との大きな違いは物品販売の有無である。
医薬品であるかのように“錯覚”
KAKUGOが販売する商品が、「デトックスウォーター」と称する「Rebaral(リバラル)」という飲料で、ホームページには「ドクターが勧める奇跡の製品」などと紹介されている。なお、代表の中村典昭氏はホームページ上に「当社が大切にしたいと考える『5つの思い』」として感謝・誠実・謙虚・挑戦・使命を掲げている。
記者は、同社主催の商品説明や販売方法を行う説明会に潜入取材を行った。会場には30名ほどの参加者がおり、そのうちの約8割は70歳前後と思しき高齢者だった。入室してくる参加者の様子を見たところ、すでにこのビジネスを行っている高齢者が知人や友人を誘って参加しているようだ。
説明会の冒頭、代表の中村氏が参加者に「このビジネスは『マルチ・レベル・マーケティング』『ネットワークビジネス』です」と説明。その後、中村氏は4年前からデトックスウォーター「Rebaral」を、極力薬を使用しない治療を実践している30人超の医師に販売、各病院で使われていると話すなど、まるで、この商品が統合医療を行う医師たちによって、効果が認められていると誤解させるような内容の説明を行っていた。
この商品には有機性ヨウ素が含まれているという。説明によると「製品化のために一般的なヨウ素を細かくしたナノコロイドヨウ素にして水に含有させている」としている。その後、参加者から「もっとゆっくり話してほしい」との要望が出るほど、中村氏の語り口が熱を帯びてくるようになる。
中村氏は参加者に小林製薬のホームページにあるヨウ素の抗ウイルス効果が確認されたとする治験データを提示、いかにもこのデトックスウォーターに含有しているヨウ素の抗ウイルス効果も同様である、と言わんばかりに参加者に訴えかけた。また、その他、さまざまな治験データや医師たちの感想・意見を紹介していく。この商品はあくまでも健康食品なのだが、説明を聞いているうちに医薬品だと勘違いした参加者も少なからずいたのではないだろうか。これがネットワークビジネスに携わるスピーカーに共通するテクニックなのだろう。
商品説明が終わり、その後のビジネスプランの説明を聞く参加者たちの姿は、説明会開始時点に比べ、総じて“前のめり”であり、まるで新興宗教の信者が教祖の話に耳を傾けているかのような印象を受けた。
データ・マックスでは、今後も年金受給者をターゲットにしたマルチ商法の取材を続けていくことにする。このKAKUGOのセミナーに関して、問い合わせを受けたので、中村氏の過去も調べた。
【データ・マックス編集部】
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