韓国経済ウォッチ~原発は大丈夫か?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
韓国の原発事情
1945年、広島と長崎に原爆が投下されたことによって、韓国は日本の植民地時代から解放されることになる。しかし、朝鮮半島は北はソ連に、南は韓国に分断されることになる。北は、もともと鉱物資源などが豊富で鉱工業が発達していたが、南は資源に乏しく、農業しか産業はなかった。そのようななかで南北に分断されたが、北はあるとき突然、南への送電を止めてしまう。
そのようなトラウマもあり、産業を起こすうえで一番大事なのはエネルギーであることをいち早く気づいた朴正照元大統領は、電力インフラの整備を図り、釜山(プサン)の近くの古里(ゴリ)をはじめ、月城(ウォルソン)、霊光(ヨンクァン)などに原発の建設を開始。現在、23基の原発が稼動するに至っている。韓国はもともと、ウェスティングハウス社のPWR(加圧水炉)の導入からスタートした。この原子炉方式に韓国は独自の改良を加え、韓国標準型としてOPR-1000という100キロワットの炉型を誕生させた。これをもっと大型化したのがARP-1400で、140キロワットの出力を持っている原子炉であり、2002年に完成した。
韓国は自国で改良・発展させた原子炉を海外に輸出しようとして、中国、南アフリカ、カナダの入札に参加したが、3回とも失敗に終わっていた。それにもめげず、韓国はその間の失敗の原因を綿密に分析しながら、原子炉産業の育成に力を入れてきた。その成果は、韓国がアラブ首長国連邦(UAE)の原発の受注に成功することによって、初めて実を結ぶことになる。
受注額は400億ドルで、1,400メガワット原発の4基の設計、建設、運営まで含めた受注である。ライバルはフランスのアレバ、アメリカのGE、日本の日立であった。韓国としては、海外案件として初の受注成功であったし、案件の規模は世界最大規模であった。
この結果は日本を始め、世界に衝撃を与えた。李明博前大統領は現代建設出身で、海外事情にも明るく、原子力産業が今後大きな産業に成長する可能性があると見て、国を挙げてバックアップした成果でもあった。原発は、産業としての大きな魅力と二酸化炭素の排出削減などのメリットを持っていることは事実であるが、使用済み燃料の処理問題、建設地選定の難航など数多くの問題を抱えているのも事実である。しかし、今後研究開発が続けば、そのような問題は解決される日が来るかもしれない。
原発は推進すべきかどうかについて、各国で激論が戦わされているのが現実である。
(了)
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