2024年11月22日( 金 )

【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(3)】一粒で二度おいしい?!――同一論文のダブル・トリプルカウント(前)

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 朔学長の研究業績リストに「ギフトオーサーシップ」による業績数荒稼ぎの疑いを指摘した前記事において、我々は、それを端的に示すのではないかと思われる一例として、2018年4月上梓の「共著論文」にリストアップされている大量の「私の症例シリーズ」論文群に言及した。

 ところが、それら28本のうちの19本について、タイトルも共著者名もまったく同じものが2017年の「共著論文」として再びリストに挙がっているのである。たとえば、下に画像でその様子の一端を示す通り、業績ナンバー51と130、52と131、54と132、55と133、56と134、57と135、という具合に。これは一体どういうわけか。

<中略> 

 すでに指摘してある通り、これらは朔学長が長く主任教授を務めてきた循環器内科の医師らでつくった、1個の学生向け教科書『医学生のための循環器内科学テキスト』の構成項目と思われるのだが、2018年とされる論文群については同『テキスト』の「第5版」、2017年のものについては「第4版」とある。版が違うから重複リストアップには該当しないという理屈だろうか?同一の著作物が増刷されるたびに新たな著作物扱いになるなど、筆者は見たことも聞いたこともないのだが・・・。

 あるいは、担当した患者の症例を各医師が紹介するといった内容のものであろうから、その年どしに担当した患者に応じて内容が一変しているのかもしれないが、それならタイトルも執筆陣もその並び順すらもまったく同じというのは奇妙である。いずれにしても、(繰り返すように)当該『テキスト』は出版社情報もなく福大図書館蔵書検索にすらかからないため、実際のところどうなのか我々に確認するすべがない。

 一方、以下の画像を見ていただきたい。タイトルと執筆陣のみならず、掲載誌とその巻号頁までまったく同じ論文が複数回リストアップされ、各々1本ずつにカウントされている。同一雑誌の同一巻号頁に同一のタイトルの複数の記事が掲載されるということがあるわけはないから、これらは明らかにダブルカウントだ。このような例がリストのいたるところで見られるのである。

<中略>

<中略>

<中略>

 上のようにまったく同じものが2つ並んでいるのみならず、たとえば下に画像で示す1191番から1193番と1235番から1237番のように、閲覧者がスクロールしなければ気づかない離れた場所で再掲載されている場合もある。

 共著者や掲載誌などの書誌情報の表記を微妙に変えて重複リストアップしているケースも頻繁に見受けられる。たとえば、466番の「軽度心不全におけるメトプロロールとガルベジロールの効果比較』という論文は、467番論文として重複リストアップされているうえ、468番論文としてさらにもう一度、ただし掲載誌が英語表記からカタカナ表記になって載せられている。

 383番論文は掲載誌の「Journal of Cardiology」を「J Cardiol」と略しただけで、382番とまったく同じものである。377番は378番論文の共著者リストをアルファベット表記にしただけだ。掲載誌の巻号頁(63巻1号35〜40ページ)もなぜか削除されている。499番と500番はまったく同一。501番はこれの掲載誌の巻号頁の表記を変えただけである。

 タイトル表記を変えて個別の2本の論文としてリストアップしているケースもある。たとえば、1141番と1142 番とは論文タイトルを構成するアルファベットの所々が大文字か小文字、掲載誌がフル表記か略称かの違いはあるが、同一論文であることは明らかだ。

(つづく)
【特別取材班】

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(3)-(後)

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