【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(3)】一粒で二度おいしい?!――同一論文のダブル・トリプルカウント(後)
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さらに、「著書」にリストアップされている22番と24番について、これらは下に画像で示す通り、リスト上でも詳細情報でも一見、3名の同じ研究者が2012年に上梓した、『CETP』と『動脈硬化症の新しい診断・治療標的:CETP』という「書名」の、異なる2本の刊行物に見える。
うち24番については確認できた。メディカルレビュー社が2012年に発行した『動脈硬化症の新しい診断・治療標的』という書籍の、第1章なかの1セクションを構成する「CETP」という項目であるようだ。だが、22番『CETP』については、そのような「書名」の書籍はどの検索エンジンにもかからなかった。
そこで国立研究開発法人・科学技術振興機構のHPにアップされている朔学長の業績情報を見ると、22番「CETP」は何らかの出版物の「21-32」ページを構成する執筆物であることがわかった。そして、「CETP」という項目名であったことが判明した24番も「担当ページ 21-32」とある。ここにおいて、22番と24番は同一の共著論文を、タイトル表示を変えてあたかも異なる2著作であるかのように提示したのではないかとの疑念が生じる。何もやましいことがないなら、マナーに従い書誌情報をそのまま記せば良いだけの話であろうに、閲覧者にこんな探偵もどきの調査・推論を強いる業績表とは一体何だろう。
故意ではない、単なる入力ミスだと言われればそうかもしれない。たとえば474番は475番の論文タイトルのスペルミスを修正したものと思われる(blokers → blo ckers)。だが、スペルミスをやらかした恥ずかしいものを、削除もせずにそのまま残してあるのみならず、個別の業績であることを表すナンバーを振ったままにしてあるのは一体どういうわけなのだろう。
さらに、下の3論文はトリプルカウントの疑いがあるのみならず、書誌情報に誤りまであった。掲載誌として掲げられている『臨床と研究』誌の当該巻号「91/6」=91巻6号の目次を見ても、「51-54」ページに同タイトルの記事は見当たらない。そもそも『臨床と研究』91号6巻は717ページから始まる巻号のようで、767〜770ページになら、当該論文と思われる記事がある。業績リストは本来、研究領域全体の発展のために研究者仲間や若手が現物に当たれるようにするためのもの。こんなに「ミス」の多い杜撰なものを出しているとなると、朔学長の研究者としての信頼性や業務遂行能力に疑問符がつく。
それどころか、次の3“業績“(26は「著書」、127および594は「論文」に挙げられている)については共著者に朔学長の名前すら記載されていない。うち、26番「著書」は現物(例のごとく掲載誌も巻号頁も明示していないが、ネット検索の結果、論文タイトルのように示されている「Case Studies in Modern Drug Discovery and Development」はこれを含む出版物のタイトルであり、26番はその第3章を構成する「論文」であることが判明)を、127は掲載誌のHPにアップされているバックナンバーリストを通じてアブストラクトを各々閲覧できたが、著者名にはやはり朔学長の名はなかった。これらのケースは、リストの入力ミスで済む問題ではないのではないか。
このように、朔学長の業績リストはとても信頼に足るものではない。意図的か否かは関係ない。それらにナンバーを振って(それは各々の論文が個別のものであることを表すにほかならない)公表してきたのは事実なのだから、「研究業績 2636本」というのは実際とはかけ離れた、大幅に水増しされた数字ではないかと疑われても仕方あるまい。
じっさい、朔学長はここ数年の間にリストから業績をごっそり削除している。あるブロガーが2019年に、当時医学部長であった朔氏の業績リストに疑問を呈する記事をエントリーしているのだが、そこに画像で示されている2019年当時の総業績数は「3012」本だった。業績数は年を追うごとに増えることはあっても減ることはない。それが400本近くも減るとはいかなるわけか、事情を聞いてみたいものだ。
臨床に研究に大学業務にと、とかくご多忙であられ続けた朔教授のこと。業績リスト作成は秘書や部下に任せてきたかもしれない。だが、だからといってリストの閲覧者に何の関係があろう。これは福大の名で公表している朔学長自身の業績表なのである。部下がやらかしたミスです等の子供じみた言い訳は通用しないし、そもそもそんなことをすれば、学長=管理職トップとしての資質を自ら否定するようなものだ。
ダブルカウントは共著書・論文に集中している。全力で取り組んだ研究ならば、その果実たる著作・論文には愛着が湧くもの(この観点からすると、リストの杜撰さそれ自体が「ギフトオーサーシップ」を告白しているようなものだが)。少なくともご自身が単独で研究・執筆された論文ならしかるべく提示されているとも考えられる。そこで、今度は単著書・論文として掲げられているものに注目して再びリストに向かったところ、そこでは驚愕を通り越して、もはや呆れ果てるような光景が繰り広げられていた。
(つづく)
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