【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(16)】独裁政治篇1:医学部出身学長の「独裁化」が福大でも
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最近、全国の国公立大学で「学長の独裁化」ともいうべき事態が急激に進行している。
学校教育法も定める通り、大学の使命は「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させること」(第52条)。
この1つの使命のもと、各大学では専門もさまざまな教職員が日々教育研究活動に取り組んでいるが、そうした現場の声を無視し、自分と仲間内の独断専行で大学を運営する学長が、いま日本中のあちこちで出現しているのだ。
なかでも医学系出身の学長の専横が目立つ。
たとえば筑波大学(永田恭介学長、分子生物学)や大分大学(北野正剛学長、消化器外科学)では、現学長が学長の任期上限規定を撤廃したうえ、教職員の意向も無視して10年以上にもおよぼうという長期政権を敷いている。その間、防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」への応募という、軍事研究に加担することにもなりかねない重要事項を独断で決めたほか、教授会が推薦する教授候補者・学部長候補者の選任を拒否して自分の息のかかった人物をねじ込む、各セクションにコスト削減の大ナタを振るうかたわら自身の出身学部には教員ポストや研究費を増やし続ける等々、いつくもの暴挙におよんできた。
(参照:駒込武編『「私物化」される国公立大学』2021年10月、岩波ブックレット)旭川医科大学では、2007年から学長の座にあった吉田晃敏氏(眼科学)が20年末、新型コロナ感染症患者を受け入れようとした大学病院長を恫喝したうえ、不当なやり方で解任して大問題となった。数十件におよぶ不透明な支出や教職員に対するパワハラ、学内での飲酒などの不適切行為も明るみに出て、日本の学界・医療界の信頼を大きく毀損したことは記憶に新しい。(参照:毎日新聞「旭川医大、学長解任理由34件 パワハラ、問題行為など 選考会議」21年6月29日)
岡山大学でも、槇野博史学長(腎臓内科学)が医学部長、病院長および複数の教授ポストに適格性を欠く人物を強引に就かせたり、高度画像診断と先進的放射線治療を提供する施設の整備事業を一方的に中止し、数百人の患者が放射線治療を受けられなくなったりといった事態が生じたようだ。最近では、今年4月に開学したばかりの大阪公立大学で、西澤良記理事長(循環器内科学)は選考会議が選んだ附属病院長候補者の任命を拒否。特定機能病院の院長が不在という異例の事態がいまなお続く──。(参照:「岡山大学を正常化する会」HP)
これら「独裁学長」とその取り巻きに言わせれば、独裁も何も、国の方針に従っているというだけの話だろう。ここ20年来、政府は「時代のニーズ」に機動的に応え戦略的に大学が運営されるためには「学長のリーダーシップ」が発揮できるような体制の構築が必要であると言いつつ、あらゆる権限が学長1人に集中するように法整備を行ってきたのだから。14年の学校教育法改正では、教授会を単なる「意見を述べる機関」へと格下げし、学長による“ワンマン経営”をさらに後押しした。
だが、その「学長のリーダーシップ」なるものが教育・研究の質を低下させたり、地域住民に不利益を与えたりといった事態を招くようでは、まったくもって本末転倒である。「リーダーシップ」とは、広い視野と見識をもって組織のポテンシャルを引き出し、社会への貢献度を高めるよう力強い舵取りを行うことでなくてはなるまい。これを「自由勝手」と取り違えるようなトップはその名に値しないはずだが、それが蔓延しているのが日本の大学の現実なのである。
私立大学でも経営トップである理事長による大学私物化が社会問題になっているが、福岡大学の朔啓二郎・医学部教授(循環器内科学)もまた、19年に「念願の」学長就任をはたすや、政府のお墨付きを得ていると言わんばかりに好き放題やり始めたようだ。
(つづく)
【特別取材班】
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