【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(17)】独裁政治篇2:投資するのは医学部だけでよし?(1)
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たとえば「文系学部棟」建設計画の白紙撤回である。
前執行部時代の2016年に80億円の予算で計画・承認された、人文学部・法学部・経済学部の専用棟を新たに建てるという構想だった。基本構想や建設スケジュールの決定、さらには基本設計を行う業者の選定まで完了していた。
3学部はキャンパス内に専用棟をもたないため、所属学生は日々、各自の履修スケジュールに合わせて、あちこちの講義棟へ足をはこぶ。これでは専攻学科の学修に専心できず、学生間、学生~教員間の交流を通じて視野や学識を広げる機会も十分に得られない。「文系学部棟」はそうした現状を改善するとともに、地域連携、進路支援、国際交流などを担う部署もここに移し、地下鉄駅もある正門付近に建てることによって、大学の「顔」ともいうべき位置を占めるはずであった。
老朽化にともない解体が決定された「1号館」の機能――数百人を収容できる6つの大教室を有し、全学共通科目の講義が行われてきた――の、新たな担い手としての意義もあった。その「文系学部棟」建設計画を「中止」すると、コロナ第2波到来の動揺が広がりつつあった20年7月16日、朔執行部は同日開催の大学協議会において、いきなり通告したのである。
翌21年5月には、医学部・附属病院地区に「多目的棟」なる建物の建設を進めるという話が藪から棒に持ち出された。
福岡大学では目下、約200億円の予算で「病院新本館」の建設工事が進んでいる。そこに隣接させるかたちで、現在病院本館内にある「医学部臨床講堂」を移設するという計画が19年5月に承認されていたが、これを全学共用の教室も備えた「多目的棟」に変更し、予算30億円で規模を拡大するというのだ。
22年2月には臨時常勤理事会に基本構想案を提出。しかもそこには、教職員への事前の意見聴取もないまま、大手ゼネコンS建設(株)との「設計・施行一括方式による随意契約とする」旨が記されていた。
「随意契約」とは、国や地方公共団体などが公共事業などにおいて、競争入札によらず任意で決定した業者と契約を締結することである。契約締結までのプロセスが迅速化される、小規模事業者も参入できるといった利点はあるが、公平性や透明性が担保されないために、これを行うための要件が法令で厳しく定められている。毎年巨額の補助金を投入されている福岡大学が30億円もの建設事業を随意契約で行うことは認められるのか、評議会や大学協議会、常勤理事会などでも問題視する声が次々あがった。
(つづく)
【特別取材班】
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