【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(18)】独裁政治篇3:投資するのは医学部だけでよし?(2)
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なにより、医学部以外に所属する大多数の学生が不利益を被ると、猛反発が巻き起こった。
朔執行部は「文系学部棟」が担うはずだった大教室での共通科目講義機能を「多目的棟」に移すという。しかるに、これを建設するという医学部・病院地区=烏帽子地区は、医学部以外の8学部がある七隈地区から4車線の道路を隔てた向かいにある。つまり、医学部以外の学生・教員は、授業のたびに広大なキャンパスのあちこちにある講義棟から正門へ集結し、その正面にある広い車道を横切って、はるばる医学部キャンパスにまで足を運べというわけだ。
福岡大学では授業と授業との間は10分しかないため、遅刻の頻発を招くことは必至である。実際、ある教授がシミュレーションを行った結果、「多目的棟」への10分間での移動は不可能であることが判明している。道路横断中の交通事故の危険もある。朔執行部はこうした指摘に対し、移動用のシャトルバスを導入する、授業の間隔を10分から15分にする等の「解決策」を示したが、それが教員たちの不信をますます掻き立てている。関係者の1人は怒りを込めて次のように話す。
「多目的棟に行けるようにするためだけに時間割全体を変更するなど、理不尽きわまりないことです。朔学長は、文系学部棟の建設費80億円が、多目的棟にすることで30億円に節減できるとうたっていますが、シャトルバスを走らせるの何だので、費用が膨れ上がることは目に見えています。そもそも、文系学部棟の設計業者に対してウン千万円もの違約金が発生したそうです。医学部とS建設しか受益者となり得ないこの建設計画を進めるために、朔学長は学生たちから預かった大切な大学資金をドブに捨てたんです。」
かくも不合理な建設計画を、朔執行部は、基本構想が2022年2月に理事会および評議員会で承認されていることを盾に取って、あくまで押し通していくとみられる(ただし、S建設との随意契約については最近、撤回の意向が表明されたようだ)。そこには、文系学部へ投資する必要はない、発展するのは医学部だけでよいというような、朔学長の価値観が透けて見える。
それはまた、朔学長が打ち出した人件費削減策にもよく表れている。
朔執行部は「業務の集中管理と効率化を推進し、専任事務職員を400名まで削減する」として、教員と密接に連携しながら教務関係事務を担当していた「学部事務室」を縮小し、文系4学部事務室を「教務2課」に、理系4学部事務室を「教務3課」に、各々統合してしまった。これにより全学規模で事務職員の業務過多や学生サービスの低下が懸念されているが、医学部(および夜間部に当たる商学部第二部)のみは従来の体制が温存されている。
各学部は所属スタッフがいっそう教育研究に打ち込める体制になるよう、財政や人事面で大学執行部に働きかける。学長の責務はそうした各学部からの要求を調整し、総合大学としてバランスのとれた舵取りを行うことにあるが、朔学長のそれはただの「我田引水」のようにしか思えない。実際、かれは大学附属病院の院長ポスト――形ばかりは合議制をとるが、事実上、学長指名で選任される――についてもまさに「我田引水」そのものの振る舞いにおよび、地域医療に少なからぬ影響をおよぼしていることが、関係者の証言から明らかになっている。
(つづく)
【特別取材班】
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