2024年11月24日( 日 )

【倒産を追う】シェルフアソシエイツ~移り気で金づくりの能力に欠ける

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債務整理(破産手続)着手の通知書が届く

シェルフアソシエイツ    弁護士事務所から破産手続着手の通知書が届いた。(1)(株)シェルフアソシエイツ、(2)リノベスタイル福岡(株)、(3)リノベスタイルホールディグス(株)、(4)坂口敬司個人(3社の代表取締役)。3法人1個人の破産手続きの通知であった。法人3社は3億4,000万円以上の債務を背負っており、支払い可能な資産はほとんどない。上記3社はいずれも事業を廃止しており、破産申立を視野に入れた残務整理の依頼を受けた。以上が通知の骨子だ。

 この通知を読んでも、驚くには値しなかった。坂口氏は確かにリノベーションの企画力には長けていたが、氏の展開するビジネスモデルの資金調達に対して、常々懸念を抱いていたからである(これについては後述する)。

 「中古住宅の利活用活性化」を強調していたのは間違いない。ただ、この中古住宅購入資金について投資家を募っていたことに疑義を抱いた。「その程度の資金は、自前で調達するのが当たり前だろう」と感じたのだ。

 「西新地区に古い戸建がある。リノベーション資金として1,200万円を投資していただいたら、年利8%は確保できる」と延べ5回以上も説明を受けた。「よくまぁ、自前資金も待たずに他人の褌でやれるものだ」と、そのビジネスモデルに不信感を抱いたのを覚えている。

 結局、「デザイン能力はあったかもしれないが、金づくりの能力に欠けていたのが破産の原因だった」と結論付けられる。

 2、3年前に西日本新聞社の営業担当者をスカウトして要職に就かせたことがある。しかし、僅か1年程度で退社した。ここで万策尽きたのではないだろうか。友人の経営者からは「ライオンズクラブに入会させなくて良かった。貴方の助言のおかげだ」と感謝の電話をもらったものである。

華麗なるプロフィール

坂口 敬司 氏
坂口 敬司 氏

    1966年生まれで近々56歳になる坂口氏は、実に華麗なプロフィールの持ち主だ。鹿児島大学工学部卒、1991年九州芸術工科大学大学院修士課程(都市計画、現・九州大学)修了。同年4月住友不動産入社、96年7月電通九州に転職。2005年九州大学(ユーザーサイエンス機構)特別助教授就任。07年4月電通九州復職、九州大学客員教授就任(08年3月まで兼務)、10年4月電通九州退職、同年5月にシェルフアソシエイツを設立し、経営者となる。

己で立つ能力の不足

 10年5月に起業を果たし、初めて会社のオーナーになった。会社を設立したころに百道浜開発プロジェクトに共同参加した経営者が描く坂口氏の人物像は下記の通りである。「そつがなく、細かいことにも気がつく。その反面、今流にドライであり義理人情を大事にする感覚は薄かった」と。

 事業は鳴かず飛ばずだった。14年3月、岡山にある太陽光発電の成金業者の傘下に入った。坂口氏が岡山に移る際に「もう少し自力で立つことを検討してはどうか」と助言した。結果、岡山の企業との関係は2年足らずで解消され、福岡に戻ってきたという経緯がある。現在、本人は一級建築士の資格を活用し、サラリーマンとして生計の糧を得ているようだ。

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