【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(19)】独裁政治篇4:附属病院長人事での露骨な身びいき(1)
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福岡大学は現在、福岡大学病院(1973年開設、福岡市城南区)、筑紫病院(85年開設、筑紫野市)、西新病院(2018年開設、福岡市早良区)の3つの病院を運営している。
文科省HPにもある通り、大学病院は(1)医師等の育成、(2)新しい医療技術の研究・開発、(3)地域の中核的医療機関としての高度医療の提供という3つの使命を帯びている。この使命をはたすため、大学は学閥をこえて優れた人材を集め、彼らをバランス良く配置し、病態もさまざまな患者を幅広く受け入れられるようにしなければならない。だが朔学長は、3附属病院の院長をすべて自身の後輩にあたる福岡大学医学部OBで、しかもそのうち2つを自分の専門分野と同じ循環器内科の人間で、次々固めていったのだ。
異例尽くしの人事だった。
厚労省は、特定機能病院の管理者=病院長に選任される者には「当該病院内外での組織管理経験」、つまり副院長以上の経験が必要であるとしている(厚生省健康政策局長通知、18年5月30日)。福岡大学病院も特定機能病院の指定を受けているが、朔学長の「推薦」で19年12月に院長に就任したのは、前年に「医療安全管理者養成課程講習会」を受けたのみで、「組織管理経験」などまったくない人物だった。
筑紫病院・西新病院の2病院は特定機能病院ではないが、医療の安全確保のためには、やはり組織管理経験の豊かな人物が院長に就任してしかるべきである。だが、朔学長はこの2病院についても、実務経験のない循環器内科の後輩教授を院長に据えた。とくに筑紫病院長は、副院長以上の経験どころか前年に教授になったばかり。しかも、ベテランの前院長を1期で降ろし(院長は2期4年務めるのが通例となっている)、副院長に降格させてまでという強引さである。
「朔学長はもともと、医学部・病院内のさまざまな部門ポストを自分の循環器内科だけで占有しようという言動の目立つ人でしたが、学長権限でそんな身勝手をやり始めたとあれば到底看過できるものではありません。医療の安全確保は本当に大丈夫なのか、地域医療を後退させることになりはしないか、とても心配です。」(関係者L)
実際、朔学長には「前科」がある。福岡大学は以前、博多駅に隣接する大規模商業施設「KITTE博多」の8階で「福岡大学博多駅クリニック」を運営していた(16年4月~21年3月)が、その開設時、医学部長だった朔氏は、医学部が協力する条件として市中病院勤務の後輩医師(循環器内科)をクリニック長に就任させるよう執行部に要求。医学部教授の肩書きを与えてねじ込んだ。
「あまり熱意の感じられない院長だった」(関係者M)といい、業績は芳しくなかった。就任から約半年後の16年11月8日に「博多駅前道路陥没事故」が起こった時も「バイト」で不在にしており、現場から至近距離にある医院として行うべき緊急対応態勢の構築が遅れるという事件を起こしていたようである。
その後、院長が代わり、同クリニックは患者数・収入ともに右肩上がりの増加を示し始めた。にもかかわらず、学長に就任した朔氏は、開設から5年も経たないこのクリニックを閉院してしまった。「開設時に日本郵便と結んだ契約を反故にするかたちで断行されました。何より、大学病院設置のクリニックとして地元が寄せ始めていた期待や信頼を裏切ることになりました」(関係者M)。
(つづく)
【特別取材班】
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