【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(21)】独裁政治篇6:情報基盤センター長人事の怪(1)
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今年度初め、学報上で不可解な人事が公告された。「情報基盤センター」長に医学部所属の准教授が就任するという内容だった。
「情報基盤センター」は、学内の教育研究、医療および事務に関する情報処理・ネットワークシステムの構築や環境整備を担当する部署である。その管理運営方針の調査・策定に携わるセンター長は、高度な専門的知識と経験を必要とするため、工学系の教授が「兼務」というかたちで就任するのが習わしとなってきた。
ところが、このたび朔学長に「推薦」され情報基盤センター長に就任したのは、代謝学および循環器内科学を専門とする医学部生化学講座の女性准教授。それも、医学部から同センターへの「所属替」という。
教員は専門とする研究分野に対応した学部の教員に審査され採用されるのであるから、途中で所属学部を変えることはよほどの事由がないと認められない。この人事についても正当性を疑問視する声が学内から次々上がった。朔執行部は「同ポストは学長の裁量に任されている」、「この分野のトップクラスの人材である」などと強弁しつつ、押し切っていったようだ。
振り返れば、同センターには昨年末から不審な動きがあった。
朔執行部は2021年11月、「情報基盤センター規程」を改正。各学部から選出された委員でつくる「情報基盤センター委員会」を廃止したうえ、センター長の選任も「本学の教授から推薦」から「幅広く本学職員から推薦」に変更している。折しも当時のセンター長(工学部)が任期満了を迎える時期だったが、朔学長は、集積回路の研究分野で実績を有し、16年度から3期連続でこの任に当たってきたこの教授を再任しなかった。のみならず、後任人事は行わず空席のままとしたのである。
情報担当副学長(工学部)が一時的に同ポストを兼任することになったが、この副学長の「推薦」で、くだんの医学部女性准教授が「センター長補佐」に就任した。そこで「業務を『補佐』するというよりは、せっせと自分の研究をしていたらしい」(関係者O)。そうするうちに、同副学長が突然「健康上の理由」で退職。同時にこの准教授がセンター長に「推薦」されたというわけだ。「『身内』のこの准教授をこのポストに就けるための、周到な根回しだったかと、今さらながら思い至ります」(関係者P)。
新設へ向けて目下準備が進められている、「社会データサイエンス学部(仮称)」の学部長にするための布石ではないかとも囁かれている。
実際、21年9月に「新学部設立準備委員会」が組織され、基本構想を議論・策定するための「教育構想部会」が立ち上がったが、学長指名のそのメンバーに、かの准教授が入っていた。情報基盤センター長に就任すると、全学の共通教育科目として新設されたばかりの「データサイエンス・AI入門」を担当。さらに、朔執行部は、今度はこの准教授を教授に昇格させることを画策し、8月初旬に開かれた「資格審査委員会」でこの人事を通している。
「資格審査委員会」は、各学部の教授会で研究・教育業績を審査され適格者と認められた人員の新任・昇格を承認する機関である。だが、情報基盤センターに教授会はないため、当該女性准教授の資格・資質はあくまで朔学長が保証するというかたちで同委員会に上げられ、まんまと承認を勝ち取ったようだ。承認の報に接したある関係者は、憤りも露わにこう語る。
「彼女に関する一連の人事は、どう考えても筋の通らないものです。そもそも、学界のマナーも秩序も無視したあんな杜撰でインチキだらけの研究業績を公表するような人物による保証など、信用できるわけないじゃないですか。資格をじっくり精査する場でないとはいえ、委員の不甲斐なさには心底ガッカリです。今回の人事を通すなら、まずは2,000本とか称するあの『研究業績』を全点、現物で出してみろと言いたいですよ。」
(つづく)
【特別取材班】
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