【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(22)】独裁政治篇7:情報基盤センター長人事の怪(2)
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これほどの反感を買うのも厭わず、朔学長がこの人事に固執したのはなぜか。何人ものインタビュイーや情報提供者が、これも「ご褒美」人事であると断言する。というのも、彼女は朔教授やその弟子たちのゴーストライターを、とくに英語論文のそれ(彼女はもともと中国からの留学生で、英語のできる人材とのこと)を務めてきたというのだ。
また、シーズン2(「恐怖政治篇」)で報じた、朔学長の「報復」のひとつを思い出していただきたい。朔学長は、医学部長時代に意のままにならなかった元看護学科長が定年退職後に福岡大学に博士号(論文博士)を申請したさい、医学研究科博士課程小委員会に働きかけて主査と副査を循環器内科専門の2教員で固め、米国で20年もの研究キャリアを有するこの看護学のエキスパートの博士論文を不合格にさせた。その2教員の一人が、朔執行部発足と同時に西新病院長に推薦され就任した、かの愛弟子M教授。もう一人が、朔学長の「お墨付き」でこのたび情報基盤センター長教授となった、くだんの准教授なのだ。
教授になりたいという趣旨のことをしばしば口にしていたとの証言もある(医学部教授の道はすでに断たれていたので、今回の横紙破りの人事が彼女が教授になる唯一の方策だった)。ある時期からデータ解析に通じた医学部スタッフのもとを足繁く訪れて、教えを乞うていたとの噂もある。朔学長が(口封じも兼ねて)長年の「功臣」に報いたとしても不思議はない。
だが、こうした人事権の私物化にもまして問題視されているのは、学内情報システムを担う部署のトップに、朔学長との癒着が甚だしい人物が就くことの危険性である。
たとえば、学内メールの履歴をチェックさせ、学長に批判的な教職員をマークするというようなことも可能になろう。執行部に都合の悪い情報を隠蔽したり書き換えさせたりということもできる。実際、我々も報じてきたように、朔学長は研究業績の不審点を指摘されるたびに大学HPをコソコソ書き換えてきた。関係者の一人は次のように話しつつ、福岡大学のゆく末に深い懸念を示す。
「罰則をチラつかせながらコンプライアンス遵守を要求する側が、コンプライアンスの何たるかをまったく理解していないという状況です。こんなことで大学の規律が保たれるとは思えません。むしろ、教職員のあいだに忖度や萎縮が蔓延し、本学の健全な運営と発展が阻害されるのではないかと危惧します」
朔執行部は「教職員に学長のビジョンを的確に伝え、その意欲と能力を最大限に引き出していくとともに、学長のリーダーシップを発揮するための体制整備を進めることが必要である」と言いつつ、この1年間で教務部長や学生部長、図書館長など7つのポストの選任方法を「合同会議での選挙による選出」から「学長による推薦」へと変えている。3病院長や情報基盤センター長のように、その部門が求める資格・資質を満たさない人物が、朔学長にとって好都合だという理由だけで、これらの重要ポストを委ねられる可能性は高いだろう。
「朔学長のビジョン」がどのようなものであれ、その根底にあるかれの心性は、全国の医学部に残る旧態依然としたパターナリズム――医学部長を頂点とする権威のヒエラルキーへの憧れを一歩も出るものではないと思えてならない。
偏差値で見れば最も学力の高い学生層を集め、企業からの献金も突出して多い医学部は、もともと学内で力を持つ素地がある。20年来の「稼げる大学」という政府方針は、大学経営という観点からの医学部の相対的地位向上を後押しした。そのなかで、一部の医学部教授がもつ尊大な自己意識はますます肥大化していったと思われる。福岡大学・朔学長の存在は、そのような人物が学長になることによって大学が、ひいては日本のアカデミアがどのような変容を被るかを、十分に予見させるものだ。
今後も我々は福岡大学の動向を注視し、新たな動きがありしだい随時報告していく。とりわけ学内関係者諸氏の奮起に、心からの期待と激励を送りたい。福大関係者の皆さん、ぐずぐずしていないで、早く何とかしてください!
(了)
【特別取材班】
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