韓国経済ウォッチ~韓国半導体産業、成長の限界?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
しかし、韓国の半導体産業にも課題がある。
半導体市場は、システム半導体が市場の8割を占めている。韓国はメモリ分野では絶対的な強みを持っているが、システム半導体においては市場シェア5%の微々たるシェアしか占めていない。
システム半導体は顧客の要求によって製造されるため、技術要求も高く、その分付加価値も高い。現在この分野はインテル、クァルコムなどのアメリカの企業が幅を利かせている。今後、より一層のシステム半導体の需要拡大が予想される。このシステム半導体をどう育成していくかが、韓国の課題である。
もう1つは、中国企業の市場参入である。中国企業の市場参入は、今後、大きな影響をおよぼすことになる。鉄鋼、造船、ディスプレイなどで、そのような前例があるからだ。中国の半導体市場進出
中国は世界の生産量の2割を占めることにより、アメリカを抜いて世界一の製造国となった。
スマホ、パソコン、タブレットの生産においては、すでに世界一になっている。しかし、中国はその基幹部品はまだ輸出に頼っているのが現状である。とくに集積回路は100%海外から輸入に依存していて、その輸入額は2,000億ドルである。今後、間違いなく成長が予想される、次世代情報機器のコア部品である集積回路を集中的に育成しようと、中国政府が計画を立てるのは当然の成り行きかもしれない。
中国政府はその一環として、2020年までに部品の自給率を40%に、それから2035年までに70%の部品の自給率を達成するという目標を掲げている。
中国政府は、まず全国で100の大学を指定し、1万名の半導体人材の育成を目指している。予算は1億2,000億人民元を投入すると発表している。現在、中国と韓国との半導体の技術格差は7年~10年と言われている。しかし、中国は世界市場の半分を持っていて、性能が少し劣っていても自国製を使うことになると、市場シェアに大きな変化が起こる可能性を秘めている。そのようなことが起こると、韓国企業は中国市場でシェアを落とし、中国の追い上げに遭遇する可能性も十分ある。
さらに、半導体の工程はディスプレイの工程と似通っていて、中国はもっと早くキャッチアップするかもしれないという観測もある。
中国のBOEは、半導体市場の参入を宣言し、日本からエンジニアを確保しようとしている。人材を確保するために、5倍の年俸という破格の条件を提示しているようだ。日本が半導体王国から転落したように、韓国もそのような状況になりかねないと専門家は憂慮している。中国の参入によって、半導体市場はどう変わっていくのか目が離せない。
(了)
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