新たなステージ迎えた再エネの未来(6)
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2030年、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)が掲げる、太陽光発電だけで100GW超、5,700万世帯分の電気がまかなえる時代は来るのか。原発39基分の電気が太陽光だけで生み出せるようになれば、日本のエネルギー自給率も大幅に上がり、海外に依存しない国産電力ができるかもしれない。しかし、太陽光のみならず再生可能エネルギーの普及が進む一方で、ハードルはまだまだある。本シリーズでは新たなステージを迎えた再生可能エネルギーの未来について、現在のトレンドから読み解いていきたい。
遠隔監視の市場規模が拡大
急激な太陽光発電の普及の裏で、ある重大な問題が出てこようとしている。それは、保守・メンテナンスや施工不良などから、発電量が低下し、長期安定的な発電がなされない状況に陥ってしまうことだ。
すでに発電上の不具合や事故は散見されている。象徴的なのが、今年6月に群馬県伊勢崎市で発生した突風により、太陽光パネルがめくれて吹き飛ばされたことだ。この事例では明らかに施工や設置方法に問題があったと考えられる極端な事例かもしれないが、とくに気候が不安定になっている昨今、発電停止などのリスクは太陽光発電事業者であれば誰もが抱えている。経済産業省もこうした事態を鑑みて、同月下旬のFIT見直し会議でO&M(オペレーション&メンテナンス)について言及したという。経産省の担当者は、「太陽光発電が火力発電のように一人前になるには事業者の責任と自覚が必要。そのためにO&Mのサービスをしっかりやってほしい」と述べている。
太陽光発電の事業モデルは本来20年間の安定稼働が必須。経産省によれば、最近とくに多いのが、太陽光発電システムや家庭用燃料電池を利用するとき発電された電気を家庭などで使用できるように変換する「パワーコンディショナー」という機器の停止や、発電量などの計測関係のトラブルだという。
今後、こうしたO&M分野は市場が伸びていくと予測されている。とくに太陽光発電設備は、大規模なら遠隔地に設置され、小規模でも各地に点在している状況で、それだけの技術者を設備近辺に常駐させておくことはほぼ不可能だ。一方で、何かトラブルがあれば迅速に復旧作業に入らなければ発電停止という事態に陥る可能性もある。そのため、今後は遠隔監視システム技術の向上がカギとなりそうだ。市場調査会社のシード・プランニングによれば、太陽光発電の遠隔監視システム市場は2020年に1,600億円になる見込みという。14年度の695億円の実に2.3倍だ。7月にあった太陽光発電関連の展示会「PVJAPAN2015」でも、O&Mの優位性を示すブースが昨年よりも増えており、シェア争いがすでに始まっていることが実感できた。
日本より10年先を進んでいるといわれているドイツでも、当初はO&Mの重要性はあまり認識されていなかったという。そこに目をつけ、独立系O&Mでドイツナンバーワンとなったグリーンテックが、今年から日本市場に参入した
同社はモニタリングのみならず、恒常的なメンテナンス、施設の保全、トラブル予防、発電所のパフォーマンス最大化のコンサルティング、その他運営上の手続き代行など、O&Mに必要なサービスを網羅している。「たった1人で500MWの施設を管理できる」というふれこみで、シェア拡大をねらう。また、太陽光パネルには「マイクロクラック」と呼ばれる微細なヒビ割れが入ることがある。これまでチェックするには、工場にわざわざ持って行く必要があったが、横浜環境デザインの子会社であるソーラーワークスは、日本で初めて現場でパネルを検査できる「PVテストカー」を導入した。
現場で即時にメンテナンスできるサービスの市場も今後は拡大していくだろう。【大根田 康介】
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