九電など電力3社、カルテルで課徴金1,000億円
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事業者向けの電力の販売をめぐり中部電力(名古屋市)と、中国電力(広島市)、九州電力(福岡市)など大手電力会社がカルテルを結んでいたとして、昨日1日、公正取引委員会が総額1,000億円超の課徴金納付を求める処分案を通知したことがわかった。
中部電力と中国電力、九州電力、それに関西電力は、大規模な工場やオフィスビル向けの「特別高圧」や中小規模の工場や事業所向けの「高圧」の電力について、互いの営業エリアで顧客を獲得しないよう申し合わせるなどカルテルを結んでいた疑いがあるとして、公正取引委員会は昨年4月から7月にかけて立ち入り検査に入り、調べを進めていたとみられる。
関係者によると、こうした申し合わせは会社間で協議のうえ、2018年ごろから行われていたとみられ、競争を不当に制限する独占禁止法違反(不当な取引制限)にあたると公正取引委員会が判断。課徴金としては、過去最高額になる見通しで、各社の意見を聞いたうえで、最終的な処分を決めるものとみられる。
課徴金1,000億円超の内訳
中部電力と子会社の中部電力ミライズ(株)は1日、公正取引委員会から独禁法違反で、計275億円あまりにのぼる課徴金納付命令書の案に関する意見聴取通知書を受け取ったことを明らかにした。納付を求められている課徴金については、特別損失に計上する予定としている。ただ、中部電力は「今回の特別損失はあくまで会計基準に基づき、引当金繰入額として計上するものであり、今後の対応については通知書の内容を精査し、公正取引委員会の説明を受けたうえで慎重に検討していく」としている。
中国電力も1日、公正取引委員会から独禁法に基づき700億円超の課徴金納付を命じる処分案の通知書を受け取ったと発表。
九州電力も1日、公正取引委員会から独占禁止法に基づき27億円の課徴金納付を命じる処分案の通知書を受け取ったと発表した。九州電力は通知書について「厳粛に受け止めるとともに内容を精査・確認し今後の対応を検討してまいります」とコメントしている。
カルテルの背景
関係者によると、関西電力は2017年以降、1件あたりの売上が大きい「特別高圧」や「高圧」の契約を取るため、中部電力・中国電力・九州電力の各エリアで営業を強化。顧客の獲得や価格面での競争が激化し、各社の収益も悪化したため、関西電力の役員らが各社の役員クラスの幹部らに、カルテルをもちかけるかたちで「手打ち」を行ったという。
カルテルを主導しながらカルテルを公正取引委員会に報告した関西電力に課徴金が課されなかったことに対し、中国電力の関係者は「関電主導なのに、課徴金がないのは納得ができない」と話し、九州電力の関係者も「うちは関電から持ちかけられ、カルテルに応じた。関電がおとがめなしなのはおかしい」と怒りをあらわにしたが、後の祭りだったようだ。
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】
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