楽天モバイル、九州の孫請け企業救済に差別待遇?(中)
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合計約4,700万円の工事代金が未払いとなっているA社
(つづき)ところが、話はそれだけで終わらなかった。
A社が6月中に土地利用契約までまとめた116局は、基地局建設に向けて引き続き進行する筈だった。だが、コロナ等の事情によって、基地局建設に必要なアンテナ資材の一部が届かない。これに対してトレイルは、基地局建設のカバー率を上げることを重視し、できるところまで作業するようA社に求めたという。
柱を建てる工事のみを行った場合、後日アンテナ資材が届いた際に、再度業者を手配してアンテナ設置作業を行わねばならないため、作業費用は二重に発生することになる。その点についてもA社は確認したが、トレイルからは、できるだけ速やかに柱を建てるようにとの指示だったらしい。もちろん柱を立てただけでは基地局として稼働できないのだから、これが果たしてカバー率に寄与するのか、はなはだ疑問ではあるが、いずれにせよトレイルの要求には楽天モバイルの基地局カバー率に対する強いこだわりが色濃く反映されていたことをうかがわせる話である。
8月の半ばには、楽天モバイルならびにトレイルが携帯電話基地局建設に関する取引の中核としていた日本ロジスティックが、楽天モバイルから口座の仮差押えを受けたとの情報が出た。不審に思ったA社はこれについてトレイルに問い合わせたところ、大した問題ではないといった趣旨の説明がなされ、とにかくできるところまで急いで作業を進行するようにと再度指示が出たという。
A社は1~6月分の作業代金を初めて6月に請求し、8月末のトレイルからの支払いを待つ立場である。支払いまでわずか2週間の時点であり、下請としてここでトレイルの指示を断る立場にない。トレイルの指示に従い建柱作業を進めた。8月末までに建柱したのは20局。その後トレイルから、口座を差し押さえられて支払いができない旨の通知を受けたのである。この建柱作業は代金を請求できる段階まで達していなかったため、トレイルへの請求には上がっていないが、計算すると500万円弱になる。しかし、作業をしてもらった現地下請業者に対しては当然、A社は作業費用を支払い済みだ。
A社は22年9月期の決算(同社の決算月は9月である)で4,200万円弱を未回収の売掛金として計上し、すでに税金も支払っている。
楽天モバイルは本件でこそ社会的責任をはたすべき
A社の社長は憤る。「楽天モバイルは今回の不正請求についてはたしかに被害者かもしれない。しかし、だからといって、このようなかたちで私たち孫請けが実質的に損害を被らなければならないなんて、そんな理不尽がありますか。
楽天モバイルは私たちがやった仕事の成果物はちゃんと受け取っており、それを利用することができる。しかし、その成果物をつくった私たち孫請けは、正当な対価を受け取ることができない。そんな事態になった原因は私たち孫請けにあるのではない。楽天モバイルと日本ロジスティックとトレイルを舞台にした不正請求事件の結果こうなったのであって、私たち孫請けはそのあおりで損害を受けて泣き寝入りしている状態です。
もし、仮にですね、楽天とトレイルがグルだった場合、どうするんですか。実際、本件では楽天モバイルの部長が容疑者なわけです。もし元請と一次請がグルになって孫請けに散々作業をさせた後に、一次請の不正請求を理由に一次請から孫請けへの支払いを凍結してしまえば、孫請けは泣き寝入りせねばならないんですか?そういう不正がこの国では可能だということになりますよ?私たち孫請けはこんな不正をされた場合、防ぎようがないですよ。」
(つづく)
【寺村朋輝】
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