2024年11月05日( 火 )

支配・侵略の6000年の歴史の変遷~イタリア・シシリー島(1)

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 最近の学説では違った解釈も出てきているそうだが、我々日本人が一般的に知るところの「世界四大文明」とは、「メソポタミア文明」「エジプト文明」「インダス文明」「黄河文明」の4つを指す。その4つの文明のなかで、メソポタミア文明とエジプト文明は地理的な近さから、互いに相乗効果的な影響を与え合ったのではないだろうか。そのうちエジプト文明は、その確固たる存在の証として、ピラミッドを筆頭に6000年におよぶ歴史をもつ遺跡が数多く発掘・発見され、現代まで残されている。

 そのエジプト文明がもたらした影響が、地中海周辺の地域には今でもくっきりと残されている。その1つが、シシリー島(イタリア語ではシチリア島)である。今回のシシリー島視察の目的は、絶景といわれる海岸の風景を堪能することと、6000年の歴史の変遷を嗅ぎ取ることであった。

クレタ島で知る6000年の悠久の地

 地中海は外洋ではない。もちろん狭い海域内でも厳しい自然環境の変化はあるだろうし、暴風や嵐に襲われることもあるだろうが、太平洋や大西洋が荒れ狂った場合の比ではない。海としては、比較的穏やかなほうだ。また、海上で時化(しけ)に襲われた場合でも、地中海内ではすぐさま近くの陸地に避難・上陸できる利点がある。だから、6000年前の未熟な航海術であっても、海の往来は可能であったのだ。人の行き来や物の流れ、生活スタイルの普及が、地中海に面している陸地・島一帯に浸透していたのだ。当時の先進的なエジプト文明の影響が、津々浦々に広がり、定着していたのである。

 2016年2月に、ギリシャのクレタ島に飛んだ。このときの訪問動機は単純だ。ある友人が、クレタ島で産出されるオリーブ油のネット通販を行っていた。この友人は手堅い商売をしているのだが、その彼から「クレタ島のオリーブの樹には、6000年の歴史がある」と聞き、そのことに非常に関心を覚えたのだ。
 クレタ島産のオリーブ油のブランドは、世界一といわれる。この島では、オリーブの実を5年に一度しか採取しない決まりになっているそうだ。その間の4年は、実が落花するのを辛抱強く待つのである。その落ちた実が朽ちて肥料となることで、5年に一度採取するオリーブの実から生み出される油は、世界一の名にふさわしい非常に良い品質が保たれるという仕組みなのだ。
 ここで最大の関心をもったのは、「6000年の歴史がある。蓄積がある」という友人の言葉であった。

 クレタ島に飛んだ(このときのレポートは、過去に報告済み)。たしかに、6000年の歴史があるともいわれるオリーブの樹に立ち合えた。だが、オリーブの樹そのものに感動したわけではない。6000年という悠久の歴史のなかで、クレタ島の住民たちが同じ手法でオリーブ油を産出させ、営々と営みを持続してきたことに感動したのである。そして浜辺で佇み、南東の方角を眺めた。ちょうどエジプトの方向だ。ふと、6000年前のエジプト文明の香りを嗅ぎ取ったような錯覚に陥った。

 クレタ島をドライブすれば、辺りに遺跡がゴロゴロと横たわっていることにすぐに気づく。石の建造物であるから、原型が保たれているのだ。3000年前のものであれば当然、初期のギリシャ文明の影響を受けていると推測される。
 ところが、3000年を超えるような遺跡を目撃すると、素朴な疑問が湧いてくる。「あれ?ギリシャ文明を源にしない影響が、どこからか来ていたのかな?」と。そこから到る結論は、「エジプト文明が源」となる。ギリシャ本島もクレタ島も、多少の時間差はあったにしても、エジプト文明の波が押し寄せていたのだろう。

 クレタ島からエジプトまでは、海上を通る直線距離で約800km。6000年前の拙い航海技術であっても、クレタ島までたどり着けていた。少なくともクレタ島で繁栄したミノア文明は、3300年前と判定されている。であるならば、ギリシャ本島の文明の繁栄よりも先んじていたことになる。クノッソス宮殿跡が、その先んじていた見本といえよう。
 クレタ島で、あることに思いをめぐらせた。「エジプト文明が、クレタ島から西へ約1000km先のシシリー島にはどのよう波及していったのか」に、関心を抱いたのだ。

 2017年6月には、イタリア・ナポリへ視察に行った。そこで、かの有名な「アマルフィ海岸」を目にして、そのあまりの絶景ぶりに鳥肌が立った。だが地元民からは、次のような声を耳にした。「シシリー島の海岸線沿いの光景は、イタリアで一番だよ」と。
 そこで、「よし!!一度、シシリー島へ行ってみるか」と即断した。

 6カ月かけて計画を練り上げ、友人夫婦5組とのミニツアーの実行に至ったのである。

(つづく)

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・イタリア元気レポート(1)~出だしからトラブル、ドーハは遠かった
・6,000年の悠久の地~ギリシャ・クレタ島いかに(1)

 
(2)

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